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込むように話に加わってきた。
「試験的特例近衛だったっけ? 肩書はともかく、言い換えればそれはエルザ姫陛下の直近。 色々あるだろうけど、それなりに実入りはあるはずだよ」
「そうは言いますけど…そうじゃないんですよぉ〜。 僕がしたかったのは、そういうのじゃあ…」
もう既に決まった事だから、自分ではどうしようも出来ない大きな力に振り回されてるとわかっていても未練は残る。
「じゃあどうしたかったって言うの? 他にろくに出来る事ないのに」
微毒を吐きつつ、新たなエールを持ってきたエマちゃんがそう問いかけてきた。
「僕は、傭兵がしたいんですよ」
僕はそう答えた。
数えきれないほど嫌になっても、僕の中ではこう答えるのが決まっていた。
他にどんな選択肢があったとしても、自分に選ぶ余地があるのなら傭兵を選びたい。
ただそれだけなのに……要望と職が一致しないこの憤り、エールを飲まずはいられない!
「それじゃあ誰もまともに取り合ってもらえないわよね」
肩を竦めてエマちゃんは呆れた。
そんな反応されるのはある意味当然だ。
傭兵というのは持たざる者だ。
望む望まざる関係なく、国かあるいは過去を置き去りにした者が成るものだ。
徴兵をされた村民とは違い、帰る場所がないから少ない報酬であってもやらなきゃいけない生業だ。
やらなくていい事。
やらなくて済むのならそれに越した事はない。
安定した職や、儲けのいい職に就けられるのならそっちがイイと誰もが思う。
それに比べて傭兵は不人気だ。
いや、人気不人気とか関係ない……泣く泣くやらざるを得ない底辺職といったところだ。
なにしろ怖いし、痛いし、収入も良くないし、本隊や偉い人には絡まれる事もあるし、果てには人間扱いされない事すらたまにある……良い事なんて全然ありやしない。
あ……なんか泣けてきた。
「ハハハ。 エマ、そんな風に言っちゃいけないよ。 人は色々あるものだよ、傭兵君にしてもエマにしても、私にしてもね」
「は〜い、マスターがそう言うならそうします」
「まぁ、何はともあれ。 傭兵をしたいという君の希望は、あいにくと叶えられそうにないね」
「何とかならないんですかぁ…?」
誰でもいいから縋りたい気分だった。
実入りがイイのは嬉しい事
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