暁 〜小説投稿サイト〜
暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
16
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
込むように話に加わってきた。

試験的特例(スペシャルテストケース)近衛(インペリアルガード)だったっけ? 肩書はともかく、言い()えればそれはエルザ姫陛下の直近(ちょっきん)。 色々あるだろうけど、それなりに実入りはあるはずだよ」
「そうは言いますけど…そうじゃないんですよぉ〜。 僕がしたかったのは、そういうのじゃあ…」

 もう既に決まった事だから、自分ではどうしようも出来ない大きな力に振り回されてるとわかっていても未練は残る。

「じゃあどうしたかったって言うの? 他にろくに出来る事ないのに」

 微毒を吐きつつ、新たなエールを持ってきたエマちゃんがそう()いかけてきた。

「僕は、傭兵(ようへい)がしたいんですよ」

 僕はそう答えた。
 数えきれないほど嫌になっても、僕の中ではこう答えるのが決まっていた。
 他にどんな選択肢があったとしても、自分に選ぶ余地(よち)があるのなら傭兵(ようへい)を選びたい。

 ただそれだけなのに……要望と職が一致しないこの(いきどお)り、エールを飲まずはいられない!

「それじゃあ誰もまともに取り合ってもらえないわよね」

 肩を(すく)めてエマちゃんは呆れた。

 そんな反応されるのはある意味当然だ。


 傭兵(ようへい)というのは持たざる者だ。
 望む望まざる関係なく、国かあるいは過去を置き去りにした者が()るものだ。
 徴兵(ちょうへい)をされた村民(そんみん)とは違い、帰る場所がないから少ない報酬であってもやらなきゃいけない生業(なりわい)だ。

 やらなくていい事。
 やらなくて済むのならそれに()した事はない。
 安定した職や、(もう)けのいい職に()けられるのならそっちがイイと誰もが思う。

 それに(くら)べて傭兵(ようへい)は不人気だ。
 いや、人気不人気とか関係ない……泣く泣くやらざるを()ない底辺職(ていへんしょく)といったところだ。
 なにしろ怖いし、痛いし、収入も良くないし、本隊や偉い人には(から)まれる事もあるし、()てには人間扱いされない事すらたまにある……良い事なんて全然ありやしない。


 あ……なんか泣けてきた。


「ハハハ。 エマ、そんな風に言っちゃいけないよ。 人は色々あるものだよ、傭兵(ようへい)君にしてもエマにしても、私にしてもね」
「は〜い、マスターがそう言うならそうします」
「まぁ、何はともあれ。 傭兵(ようへい)をしたいという君の希望は、あいにくと叶えられそうにないね」
「何とかならないんですかぁ…?」

 誰でもいいから(すが)りたい気分だった。
 実入りがイイのは嬉しい事
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ