第57話 破殺
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「......」
倒れたショックで身体中に激痛が走るフレンダは床に突っ伏したまま涙を流す。
もうなんか......
私の事なんか眼中にない訳ね
携帯電話を正常な位置に持ってくるとサソリは耳をすませた。
「話さないとダメですわよ」
「御坂さんどうかしたのですかね?」
「あっ!そろそろ門限ですわね。その連絡?一応帰る用意をしませんと」
「あら!?じゃあ、ここからはアダルトな世界になるわね。お子様は帰ると良いわよ」
麦野が挑発的な言葉を口にすると白井がムキーと憤慨した。
「そんな事をしましたら、世界の果てに置いてきてやりますわ!」
「白井さん落ち着いてください」
こんな獰猛な猛獣の前にサソリを置いて帰るのには白井に取ってかなりの不安材料だ。
麦野と白井が言い合っていると、サソリが携帯電話を耳に付けたまま怒鳴るように
「少し黙っていろ!」
と言った。
「!!?」
一同がサソリの声に身体を強張らせて、様子見をした。
受話器の向こうから御坂の声はなくザラザラと砂利の上を歩くような音がした。
それに混ざるように複数人の人物の話し声が微かに聴こえる。
サソリはチャクラを聴覚に集めて、意識を集中させた。
「......」
サソリだけは会話の内容が聴き取れたようで空いている左手で布団を強く握り締めた。
「さ、サソリ?」
白井がサソリの殺気に怯えながらも果敢に声を掛ける。
「出ろ......良いから出ろ」
サソリがやや命令口調で呟くが、電話口から御坂と思われる足音が遠ざかっていく音がデクレシェンドで響く。
「ちっ!あのバカ!」
サソリが勢い良くテーブルに拳を叩いた。
「!?」
サソリは携帯電話を折り畳むと横になったまま脚を組んで息を荒げた。
「何かあったの?」
麦野が目付きを鋭くして殺気立っているサソリに声を掛ける。
「......オレの弟子がゼツに捕まった」
「弟子ってさっきのレールガンのクローンの?」
「ああ」
?!?
白井と初春は会話について来れないようで互いに顔を見合わせている。
「で、弟子に?」
「悪いが説明は後回しだ......白井、コイツで湾内と連絡が取れるか?」
サソリは自分の携帯電話を渡しながら訊いた。
「は、はい......ちょっとお待ちに......はいですわ」
湾内の携帯に電話を掛けるとサソリは白井から奪い取るようにして出た。
暫くのコール音がすると湾内の声が聴こえてきた。
なるほど......便利な代物だ
そんな事より
『はわわわわわー、はい?!サソリさん?』
いきなりの想い人のサソリからの電話に湾内はかなり動揺しているらしく、たどたどしく言葉を紡いでいる。
それでもサソリは気持ちを落ち着けてあくまで冷静に話を進めた。
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