第三十一話 第一機動艦隊
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裂けて汚れている。それでも彼女たちは残った砲での砲撃をやめない。三笠は降伏してくれることを祈ったが、彼女たちは足を止めることはなかった。
一瞬――。嚮導艦娘との目が合った。怯えきっている青い目がやけにはっきりと三笠の目に飛び込んできた。
「初瀬姉様・・・・!!」
三笠が振りぬいた手がとどめの一斉射を呼び起こした。
はっと葵は体を机の上から起こした。連日の作戦会議、そしておそらく最大の激戦になるであろうミッドウェー本島攻略作戦、その準備に追われ、いつの間にか眠っていたらしい。
「バカよね・・・・。自分が艦娘になった夢を見ていたなんて・・・・・・・・。」
かつての連合艦隊総旗艦は驚いたように目をぬぐった。いつの間にか涙が頬を伝っていたからだ。
「でも、夢ではないわ。初瀬姉様は死んだ。私は連合艦隊総旗艦だった。そのことに変わりはないのだから。」
葵は深い吐息を吐き出した。
「初瀬姉様、朝日姉様、敷島姉様・・・・。私がもし艦娘としてあの場にいたならば・・・・もし、東郷閣下がおらず、参謀たちもおらず、私が全軍の指揮権を担い、すべてを決めなくてはならない立場にあったら・・・私は、決断できるかな・・・・。」
そう考えると、今深海棲艦と戦っている艦娘たちがいかに重責を負い続けているか、いかに自分たちが後方にあって指示を飛ばすだけの存在なのか、葵はそれらを自覚しないわけにはいかなかった。
第六章――
呉鎮守府の奮闘と多大な犠牲により、横須賀鎮守府に補給物資が到着し、ヤマトの士気は上がった。また、海外同盟国からの派遣艦隊や新鋭艦も到着し、戦力増強が行われる。
ここに至って、正規空母赤城の進言で、ヤマト軍令部は全艦隊の総力を挙げたノース・ステイトへの遠征作戦を正式に発動。その前哨戦としてミッドウェー諸島攻略作戦を開始した。
ミッドウェーは太平洋上の重要拠点であるものの前世大戦時に大日本帝国海軍の鬼門ともいうべき存在であった。
ここを攻略することに成功すれば、ノース・ステイトへの道が大きく開くこととなる。
だが――。太平洋上には先日ヤマトを空爆した敵の大機動艦隊が展開し、ヤマトのミッドウェー本島攻略を阻みつつ、虎視眈々とヤマト侵攻を狙っていた。
* * * * *
ミッドウェー本島攻略作戦はゆるぎないものとなった。だが、ここにきて葵が一つ作戦の修正を求めてきた。その理由は、偵察機によるミッドウェー本島並びに度重なる潜水艦隊による偵察の結果、ミッドウェー本島近海に有力な機動艦隊の存在が確認されたことによる。陣容からこれは先日ヤマトを空襲した敵の機動艦隊であることが確認された。ヤマト側はこれを第一機動艦隊と呼称。軍令部はまずこの機動艦隊を撃滅してヤマト本土の安全を確立させ、しかる後にミッドウェー本島攻略を
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