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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十一話 第一機動艦隊
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近距離で砲弾が炸裂し、時には直撃弾を被り、艤装が吹き飛んだ。それでも、三笠は足を止めない。連合艦隊総旗艦として、姉、そして仲間たちへの想いと責務が彼女の足を止めさせなかった。
(姉様、姉様、姉様ッ!!)
この間まともに射撃もできず、三笠にできたのはただ姉に祈ることだけだった。時間にしてはおよそたったの数分のことだったろう。だが、その数分が三笠にはとてつもなく長く感じられた。
 三笠が回頭を終え、あらたな進路に入った。右を見ると、敵が陣形を並走しているのが目に入った。だが、その顔色は狼狽している。思ったほどダメージが与えられなかったこともあるだろうが、日本艦隊が弾雨の危険を冒しつつ寄ってきたことに驚いているようだ。
「敵が寄ってきます!?あ、違った。私たちが敵によっているんです!!距離6500!!完全に射程内に収まりました!!」
「2番艦敷島新進路につきました!!さらに3番艦朝日も回頭終了間際!!さらに4番艦富士以下、続きます!!」
相次ぐ妖精の報告にうなずいた三笠が右手を振った。まず、一門だけ砲が撃たれる。その際の着弾によって三笠のみならず各艦隊は距離を測るのだ。
 敵嚮導艦娘の至近に落ちた水柱を見た三笠が各艦隊に叫んだ。
「仰角修正マイナス0.1!!今よ、全艦隊、主砲、撃ち方、用意!!」
全艦娘が主砲を敵に向けた。三笠の右腕が高々と上がる。まるで鋭い日本刀のように上段に構えられた腕につけられた総旗艦の腕章が朝日を受けて輝く。

そして三笠の右腕が敵に向かって振り下ろされた。
「テ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」
三笠の誇る30サンチ2連装主砲が轟然と火を噴き上げ、すさまじい音が海上に響き渡った。それを見届けた敷島以下各艦が発砲を開始した。初弾が敵嚮導艦娘のすぐ前に落下、彼女が怯えた様に叫んだのを三笠は見た。
(くっ・・・!!)
目をそらしたかったが、三笠はそれを自分に許さなかった。彼女は再び右腕を掲げた。
「血で作る未来・・・・それが私たちだけではなく、敵の血で贖うものならば、私たちはそれを見届けなくてはならないわ。目を背けてはならない!!・・・・許して!!!」
三笠が振りぬいた右腕が第二斉射発砲開始の合図だった。
 両軍は並行戦闘にもつれ込む。敷島も、富士も被弾していたが、それでも砲撃の手を緩めることはなかった。敵も一歩も引かなかった。すさまじい砲戦が続いたが、戦闘は猛訓練を続けてきた日本艦隊側に有利だった。組織的な主砲撃ち方、風上に立ち、敵を追いこんだ進路、そして何より三笠自身の覚悟が全軍に伝播して一糸乱れぬ行動を展開している。
三笠は速度を上げ、敵艦隊前方に回り込み、主砲を向けた。
既に先頭の嚮導艦娘ともう一人の第二艦隊の艦娘はひどい怪我を負い、轟沈寸前だった。主砲は折れ曲がり、艤装は吹き飛び、服もひどく
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