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艦隊これくしょん【幻の特務艦】
第三十一話 第一機動艦隊
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「三笠!!!」
後方で敷島がいらだったように叫ぶ。今度はその中に朝日や富士たちの不安そうな声も交じっていた。
「姉様・・・・。ありがとう。本当に・・・・ありがとう・・・・。」
三笠の眼が開かれた。
「私の心は決まったわ・・・。連合艦隊総旗艦として・・・・全軍の総指揮官として・・・・私は役目を果たします!!」
三笠の右手が拳を作り、噴き上がる波浪の中を高々と上がった。

それは――。
「皇国の興廃、この一戦にあり!!各員一層奮励努力せよ!!」
この意味だったが、三笠自身も声を張り上げていた。その声は不思議なことに全艦隊にこだまし、全艦娘を奮い立たせ、次々と同じ言葉を叫ばせていた。


「距離、8000!!有効射程距離です!!敵、こちらに照準を指向!!発砲態勢に入りました!!砲撃、来ます!!」
砲術妖精が叫んだが、三笠は動じない。その姿はまさしく全軍の先頭に立つ将帥そのものであり、右手を高々と上げたその姿は凛として不動の立ち位置を占めていた。連合艦隊総旗艦として・・・・。
「私の役目・・・・それは・・・・・。」
三笠の眼が引き締まった。
「それは、この海戦に勝利し、日本を救うこと!!私たちの手で私たちの未来を切り開くこと!!そのためになら私はどんなことでもするわ!!」
上がった手が半円を描くように、ひゅうっと勢いよく左に振りぬかれた。
「全艦隊東北東に反転150度!!敵艦隊との距離を6000に縮め、近接並行戦闘に移行!!!」
朗々たる声が全艦隊を駆け巡った。その瞬間誰もが凍り付いたように動かなかったが、ただちにその言葉を理解した敷島が真っ先に叫んだ。
「なるほど・・・アンタも覚悟を決めたってわけか、面白い!!乗ってやるわよ!!」
敷島が叫んだときには三笠はターンを始めていた。全速航行での急速反転により、波しぶきがほとばしり、三笠の艤装に降りかかる。三笠の転進を見た敵が一瞬驚愕の表情を浮かべ、そののちうなずき合うのが視界の隅に移った。ちらと後ろを見ると、敷島も、回頭を始めている。朝日も、そして富士たちもそれに続こうとしていた。


それは、自分を連合艦隊総旗艦として姉たち、そして全艦隊が認めた瞬間だった。


戦闘の嚮導艦娘が何か叫んだようだった。それが何の言葉なのか三笠にはわからなかったが、意味はわかった。

 轟音が海上に響き渡った。

 敵の全主砲が火を噴き上げ、敵艦隊を覆い尽くすほどの黒煙が立ち上ったと認めた瞬間凄まじい砲撃が降り注いだ。水柱が林立し、いたるところに主砲弾が炸裂、爆発し、その破片が降り注ぐ。それを手でかばいながらも進む三笠、敷島、朝日、富士、春日、日進、そして後続の出雲以下が、凄まじい攻撃を受け、次々と被弾していく。その被害は最も先頭を進む三笠自身に降りかかってきた。絶えず至
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