第三十一話 第一機動艦隊
[11/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ているが、中々話す時間が取れず、聞き出せずにいた。
(今回の戦いが終わったら・・・一度時間を取って聞いてみることにしよう。)
紀伊がそう決意した時、加賀と赤城がそばに寄ってきた。
「紀伊さん。偵察機から報告です。11時の方向、距離7万に敵艦隊あり。陣容、空母2、戦艦4、重巡2、軽巡6、駆逐艦8、目標の支援艦隊だと思われます。」
加賀が報告する。
「了解です。敵は艦載機を発艦していますか?」
「いえ、直援機が数機上空を旋回しているのみだとのことです。」
「わかりました。では予定通りここから艦載機隊を発艦させ、先制攻撃を行いましょう。赤城さん。」
「了解です。・・・加賀さん。」
「承知です。行きましょう、赤城さん。」
第一航空戦隊の双璧の二人は、ペアスケートをしているかのように優美な曲線を描きながら反転し、次々と艦載機を放ち始めた。
「さすが赤城さんと加賀さんですね〜。わたしもあんな風に空母として活躍したいなぁ!」
讃岐が感嘆の声を上げた。
「そうね。私も見習わなくちゃ。さぁ、私たちもやるわよ。」
「はい!」
二人が艦載機を射出し始めた。ただし、紀伊の場合は半ばで打ち切ることとなっている。それは彼女が艦隊指揮官として他の艦娘たちに指令を下さなくてはならないからだった。
『全艦隊、戦闘隊形へ!第二艦隊は右翼に展開して敵艦隊を本隊へ合流する道を閉ざしてください!加賀さんと赤城さんは射程外へ退避、周辺警戒に備えてください。私と讃岐は左翼方向から敵を砲撃します!』
『了解です!』
全艦娘が了解する。
「あ、ちょっと!北上さんはどうなるわけ!?」
大井が気色ばんでこちらにやってきた。紀伊はその迫力に一瞬ひるんだ。もしここでこの二人を温存するなどと口に出せば、たちまち魚雷が飛んできそうな気がする。
「あなた方・・・あ、いえ、北上さんとあなたには一番大事な役目をやってもらいます。」
出撃前に長門と陸奥から助言を受けていたこともあり、紀伊は大井の『北上さん』を持ち上げるような話し方を心掛けていた。
「それ、どんな作戦ですか?!」
俄然大井の眼の色が変わってきた。
「敵の空母に接近してとどめを刺す役目です。弾雨をおかしての接近戦にはなりますが、回避において優れており、かつ戦艦の主砲並みの火力を持つあなたたちにしかできないことです。お願い、できますか?」
「もちろんです!!あぁ・・・北上さんの雄姿を皆が目撃することになるわ!!ねぇ、北上さん!!」
大井がうっとりとした目で空を見上げ、ついで北上を見る。きっとみんなに賞賛される『北上さん』の雄姿を妄想していたのだろう。
「え〜〜あたしゃ別にいいよ〜〜。」
北上が腰に手を当てて嫌そうな顔をした。
「ウザイ駆逐艦に一矢報いてやれるチャンスですよ。」
「うわっ、黒ぉ・・・・この人
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ