第3章:再会、繋がる絆
第72話「再現された“闇”」
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な彼女を見舞いに行くようになった時、言われた言葉がそれだ。
「(...辛くないか?...か。)」
ただ生きているだけになっていた彼女にとっては、辛かったのだろう。
でも、僕が死んでしまう前ぐらいには、だいぶ生きる事に喜びを得ていた。
「(辛い事があっても、悲しい事があっても、前を向き続ける。それが生きるって事。そうすれば、その分だけ、楽しい事、嬉しい事がある。)」
僕がそう言ったからこそ、彼女は生きる事に希望を見出した。
...まぁ、それを言った僕も緋雪が死んだ時は悲しみに暮れたものだけど。
...なんか、黒歴史だな。これ。
「....優輝、本当に大丈夫?」
「....ごめん、ちょっと物思いに耽ってた。」
椿に声をかけられ、現実に戻ってくる。
「病院だからか、つい思い出してしまったか...。」
「.....?」
彼女は、今どうしているだろう。
心臓病に関しては、僕が適合者且つドナー登録をしていたから大丈夫だろう。
なら、きっと転生なんてしていなければ、元気になって...。
「....なんて、僕が気にしてもしょうがないな。」
前世の事は前世の事。さすがに前世の世界に行ける訳がないし、気にしてもな...。
むしろ、奏がますます“奏ちゃん”だと思えてしまう...。
「...ああもう、考えても仕方がないっての!」
「ゆ、優輝?」
また思考にのめりこんでいたのか、椿が戸惑っている。
「ごめん、また考え事してた。.....っし、っと。」
頬を叩き、思考を切り替える。
考え事をして物思いに耽っている場合ではないのだ。今は。
「...ふぅ、まさか病院ってだけであそこまで思い出す事になるとは。」
「...心配なんだけど、もういいのよね?」
「ああ。それよりも、ユーノ達を呼び寄せないと。」
結界を張ったから、気づいてくれると思うが、念のため信号弾代わりの魔力弾を打ち上げておく。
「これで僕らの所に来るだろう。」
「そういえば、当初予定していた作戦はどうするの?」
椿の言う作戦とは、誰かが偽物を警戒するという、役割分担の事だろう。
だけど、シュライン曰く厄介な相手となれば、戦力を分ける訳には...。
「...偽物は僕らが転移する瞬間を狙ってきていた。多分、今のこの状況は偽物の思い通りなんだろう。そう考えれば、ジュエルシードの一斉発動も偽物の仕業。...そこまで行けば、むしろ戦力を分担する方が危険かもな...。」
「手薄になる事で、対処ができなくなる...。」
「そういうこと。」
椿もそこらへんは分かっていたみたいで、納得したように頷く。
「...ああくそ、偽
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