EPISODE06勇者X
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らい尽くす不気味さを凱に印象付けた。
「ウィル!ナイフ!」
深緑の短剣の居合切り!しかし、その輝く一閃の太刀筋は、黒衣の男の黒き刃にて受け止められた!
勇者の太刀筋を見切って――
光と影の膠着状態が続く!
緑と黒の切り結びは、黒衣の男の感情を激しく高ぶらせた!
「こんな素晴らしい景色を一緒に眺めないか?」
「あいにく……野郎と眺める趣味はない!!」
目の前には黒炎の刃と紅き炎の横断幕を相手に、凱は立ち向かわなくてはならない。
剣閃と剣閃の応酬!もはや常人には決してとらえきれない閃光が、凱と黒衣の男を取り巻く!
「うおおおおおお!!!」
「ぬううううううう!!」
「ぐっ!!」
「ぶはっ!!」
一瞬の刹那!繰り返される閃光!無慈悲な斬輝が乱舞する!
こいつ、黒衣の男は……強い!?
黒衣の男の底知れぬ実力に、言い知れぬ脅威を悟る。
――人間とは思えない怪力――
正確には、その怪力自体に驚いているのではない。ハンニバル団長の模擬選において、驚愕の怪力はすでに予習済みだったからだ。
ただ、凱の不安要素は別の所にある。
それは、痩せた身体に見合わない剛力。巨木のような腕を持つ団長ならともかく、黒衣の男の場合は明らかに身体と能力がかみ合っていない。
骨と皮と筋肉の比率が均一であるならば、相応の効力を持っていてもいいはずだ。
だから不気味と感じ取るのだ。黒衣の男の秘めたるモノを。
「炙れ」
黒き刃を振りかざし、黒衣の男は氷より冷やかに言い放つ!
瞬間、Kき炎の奔流が勇者を飲み込む……かと思われた矢先――
「ドリルニー!!」
形のない炎めがけて、すさまじい螺旋力を膝にまとわせ、喰らわせる!!炎は四散し、勇者は猛然と黒衣の男に食らいつく!!
実体のない緑色のエネルギーが螺旋化し、凱の右膝に形成される。
ドリルニーの突進能力を利用して、凱は黒炎を纏いながらそのままだ急降下する形で突撃した!若干、黒炎にIDアーマーが黒ずんで焼き付いたようだが、気にしている場合じゃない。
しかし、黒衣の男は凱の螺旋機構に驚く様子を見せず、ただ無慈悲にフランベルジュの黒刃を凪いだ。
ドリルニーと魔剣の刃が互いに喰い殺し、不協和音を全響させる。
それでも黒衣の男の視線は、遥か眼下の炎の悪魔に向けられていた。
「やっぱ経験者は違うよなぁ。契約内容通りに働いてくれやがる」
互いは均衡状態を放棄した。若干間合いを取って身構える。
「お前……ジャック=ストラダーに一体何をした!?」
「ほう。貴様はあのエキストラと知り合いだったのか?」
偶然にも、浮浪者を取り巻いた二人は、あの街角の吹き溜まりですれ違ったことを知らない。
黒衣の男の笑
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