EPISODE06勇者X
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にくと特売じゃないんだぜ!」
「くすっ……上手いこと言うわね♪」「クスッ……上手いこと言いますね♪」
イライザ・イヴァにクスクスと笑われるが、それは冗談でも、決して比喩でもない。現実として発生している事象なのだ。
風の魔剣アリア。黒衣の男が手に持つ炎の魔剣エヴァドニ。そして雷の魔剣イライザ・イヴァ。
魔剣の数は全部でいくつあるのか、定かではない。
「気に入ったぞ。やはりオレはお前が好みだ。だからこそ、どうしても殺したくなる。来い。イライザ・イヴァ」
などと銀髪の黒幕がそんなことを抜かしやがる。
「シーグフリード様に」「そんな気があったなんて」
「まあいいわ」「始めましょう」
――眠りを解け――
(この文言だ。俺が聞いたのは)
――雷霆に跪け―
――光は虚無に――
――神を殺せ――
雷鳴の張り裂ける衝撃と共に、イライザ・イヴァは有機体から無機体へと変貌する!
目が焼けるような閃光の中から現れたのは、1本の刺突、斬撃兼用武器。パルチザンだった。
「雷の……魔剣……いや、魔槍なのか?」
槍を剣と呼ぶにはかなり無理があるような気もするが、超常現象の力を有していることを見ると、アリアと同じ魔剣と区別するのが無難だろう。
柄にまで雷禍はじける魔剣を、シーグフリードはモノともせず掴み取る。常人なら感電死しそうな力場を顧みずに――
そして、銀髪の髪の男は「黒炎の魔剣」「雷禍の魔槍(凱命名)」の刃を二つに違えた。
「まさか、魔剣を二つ同時に!?」
凱の推測は正しかった。
周囲に散らばる、木材をはじめとした可燃性物質が自然発火している。炎の魔剣による引火反応が起きているのだろう。
そして、燃焼性をもった火気物質が銀髪の男に集合していく!
尋常ならざる光景に、凱は思わず固唾を呑んだ。
「ハァァァァァァァァァァァァァァ」
(あの野郎、右手の炎の魔剣で空気中の火気粉塵を集めていやがる。おそらく、左手の雷の魔槍が起爆装置か?)
黄金の勇者の頬に、冷たい一筋の滴が垂れる。
「フハハハハハハハハハハハハ!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
焦熱を孕んだ爆炎が、突如として膨れ上がる!
勇者は光の彼方へ消え去ろうとしていた。
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