ターン60 蹂躙王と怪異の演目
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デュエリストとしての私の名誉に誓おう」
「ありがとうございます」
「少し、待っていただきましょうか」
デュエルディスクを手に取ったちょうどその時、どこからともなく低い声が石造りの部屋に響いた。咄嗟に周りを見回すも、僕とバックアップ・ウォリアーの他には動くものは何もない。あえて挙げるとすれば、部屋の奥の暖炉で炎が赤々と燃えているぐらいだろうか。
だが、僕よりも歴戦の戦士であるバックアップ・ウォリアーにはその気配が感じられたらしい。まさにその暖炉に向けて、手にした巨大な銃を腰だめに構える。ワンテンポ遅れて、僕にもはっきりと分かった。あの炎、ただ単に火が燃えているんじゃない。
「誰だ!」
「おやおや、もう見つかってしまいましたか。さすがはフリード軍後方支援部隊隊長、バックアップ・ウォリアーさんといったところでしょうか?ですが、今回私が用があるのはあなたではないのですよ」
暖炉の炎が揺らめき、みるみるうちに膨れ上がって形を変えていく。筋肉質な上半身からは4本もの腕だけでなく蝙蝠状の翼までもが生え、毛深い下半身は足先の蹄と合わせて羊など動物のそれを連想させる。もっとも、そんな当たり前の動物は2足歩行などしやしないであろうという1点を除けば、の話ではあるが。
だが、それまでのパーツはどうにか人型の体裁を成していたのだが、首から上だけはどうにもしようがない。もろに山羊といった風体のそれには、あのダーク・バルターのそれとよく似た角もついている。もっとも、向こうのそれよりもサイズは小さい代わりによりカールしているというささやかな違いはあるが。
「その山羊面、聞いたことがあるぞ。貴様がレッサー・デーモンか」
「おや、私の名もずいぶん広まったようで光栄ですね。いかにも、私の名はレッサー・デーモン。お初にお目にかかります」
その物腰こそ丁寧だが、レッサー・デーモンのその目はまるで笑っていない。常に周りの存在全てを小馬鹿にした感じを隠そうともしていない悪魔、そんな点までダーク・バルターとどことなく似通っている。
「さて、私も今回こうして足を運んだのは、なにもあなた方と遊びに来たわけではないのですよ。早速本題に入らせていただきますが、あなた、私達と共に戦いませんか?」
レッサー・デーモンが僕の方を向き、蹄でコツコツと床を叩きながら問いかける。真意をはかりかねて無言のままでいる僕に自らの説明不足を感じたらしく、咳払いひとつとともに改めて悪魔が語りだす。
「つまりですね、私はあなたの実力をそれなりに評価しているのですよ。ブラッド・ソウルはただの小物のつまらない悪魔でしたが、辺境の大賢者の体に憑依するという大金星を挙げて名実ともに魔人となった彼の戦闘力、ひいてはデュエルの腕前は決して侮れないものがありました
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