14. 友達が帰る日(後) 〜電〜
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鳳翔さんの戦闘機たちに見送られ、私たちは鎮守府を離れていく。
「……」
「……」
私たちから離れ少しずつ小さくなっていく鎮守府を、集積地さんと子鬼さんはじっと見ていた。
「……」
「……」
やがて鎮守府は米粒ほどの大きさになり、水平線の彼方へと消えていく。それでも、集積地さんと子鬼さんはずっと、その水平線の彼方の向こう側にある鎮守府から、ずっと目を離さなかった。
「……集積地さん? 子鬼さん?」
「……」
「……」
見えなくなった鎮守府をずっと見つめ続ける集積地さんの後ろ姿がとてもさみしそうで、私は曳航から外れて一端集積地さんのそばまで近づいた。
「集積地さん」
「……ぁあ、どうした?」
「ずっと鎮守府見てたのです」
「あぁ、やっぱりいろんな思い出が詰まってるしな。帰れることはうれしいが、やはりいざ離れてみるとな……」
集積地さんは私に向かって微笑むと、再び見えなくなった鎮守府をきょろきょろと探し始めた。短い間とはいえ、一緒に楽しい思い出を作っていった鎮守府。やはり離れるとなると寂しいようだ。
―― それならずっといてもいいのです
……危なかった。喉まででかかった。
「責任者としてはうれしい言葉だね」
「そうか?」
「そうよ? それだけみんなと仲良くしてくれたってことだし」
「……そうなのです! それだけ集積地さんは、みんなと仲良くなってくれたのです!」
「逆だろう? 敵である私に、お前たちは本当によくしてくれた」
「……ま、どっちでもいいのよ。要は仲良くなりさえすればさ。知らんけど」
いつもの無責任な接尾語を口走った提督は、そのまま曳航されたボートの前方に移動し、先頭にいる赤城さんに声をかけていた。
「赤城。偵察機は持ってきた?」
「鳳翔さんからお借りしてきました」
「なら飛ばしてちょうだい」
「? もうですか?」
「うん。んで深海棲艦さんたちが見えたら教えて。ついでに友軍が見えたら迂回するからそれも報告よろしく」
「了解しました」
「キヤァァアアア」
「お前さんも哨戒を頼むよ。一航戦なんだから」
司令官さんの指示を受けた赤城さんは、弓を構え偵察機を飛ばしていた。同時に子鬼さんが赤城さんの肩から降り、ものすごいスピードで大海原を駆けていった。水上と空中からの二段索敵か。これなら万全の態勢だ。もっとも戦うためではなくて、戦闘を回避するためだけど。
つづいて司令官さんは元いたボートの後部に戻り、自分の席のそばに置いてあった白旗を手にとった。
「おい提督。もう白旗上げるのかよ?」
「まだあげないよ……赤城さんと子鬼があちらさんサイドの艦隊を見つけたらな。いつでも上げられるようにしとこうかと」
「ほーん……」
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