14. 友達が帰る日(後) 〜電〜
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……私と一緒に禁断のどら焼きを食べてしまった仲間で……ゲームが好きなのに下手っぴで、すぐ借金抱えてボンビーをなすりつけられてて……
「最後に……握手してくれるか?」
「はい……なのです」
最初は意地を張ってたのにフルーツ牛乳で態度をころっと変える人で……今みたいに、握ったその手はとっても温かくて私の胸を温めてくれる人。私のとっても大切な友達……集積地さんは、少しだけ目に涙をためていたけど、私には満面の笑顔を見せてくれていた。
「イナズマ。本当にありがとう。あの時に戦ったのがお前たちでよかった。私を助けてくれたのがお前でよかった」
「電も……あ、あの日……集積地さんを助けて……ほ、本当に、よかったのです! 集積地さんも、電と……みんなと、仲良くなって、くれて……ありがとうなのです!」
私は……耐えていた。
「集積地、そろそろ行こうか」
「……ああ」
私は耐えた。
「集積地さん。また……また会うのです!!」
「ああ! また遊びに行く! いつかイナズマたちもこっちに来てくれ!!」
「はいなのです……!!」
「みんなにもよろしく!!」
「はい……なのです……!!」
「アカギ! 子鬼たちを一航戦と呼んでくれてありがとう!!」
「こちらこそ! 相棒と出会わせてくれて、ありがとうございました!!」
「キヤァァアアアア!!!」
「こおにー!!! 天龍二世としてがんばれよ!! 元気でな!!」
「コワイカー!!!」
「テンリュウもありがとう! 子鬼たちのあこがれになってくれて!!」
「集積地さーん! ありがとうなのですー!!!」
「ありがとうイナズマ! 元気でなー!! イナズマー!!!」
私は……耐えた……
………………
…………
……
「ひぐっ……ちくしょっ……涙が……とまんねぇ……ッ!!」
帰り道、天龍さんはずっとしゃくりあげて泣いていた。
「……」
赤城さんは何も言わず、まっすぐ前を見てただひたすらボートを曳航していた。何も言わないけど、肩に子鬼さんが乗ってなくて寂しい思いをしているのは、その後ろ姿からも伝わってくる。
「赤城さん、司令官さん」
「はい?」
「どうしたの?」
私は……そろそろ我慢出来なくなっていた。
「深海棲艦さんたちは……し、集積地さんたち……は……?」
私の言葉を受け、司令官さんは私達の後方を見た。私は今、振り向けない。後ろを振り向いて、もしまだ集積地さんたちがいたら……そう思うと、今は振り向けない。
「……うん。大丈夫。もう見えないよ」
「ホントなのです?」
「うん」
「赤城さん」
「大丈夫ですよ」
「……司令官……さん」
「ん?」
「そ、そろそ、ろ……頑張らなくても…
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