14. 友達が帰る日(後) 〜電〜
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た。怪我の完治と本人の希望を受け、本日、集積地棲姫を返還する」
「承知した。貴君たちの寛大な処置に感謝する。おかげで当方は大切な仲間を失わずに済んだ」
「これ、お近づきの印に……」
「ぁあ、これはこれは……」
司令官さんが戦艦棲姫さんと挨拶を交わし、大きな紙袋を渡しているのが見えた。なんだか二人が遠いところの話を遠いところでしているような気がする……二人の会話が全然頭に入ってこない。なんだかぼーっとしてしまう。まるで夢を見ているみたいだ。
「イナズマ!」
集積地さんの呼びかけでハッと我に返る。いけない。これからがんばらなきゃいけないんだから、しっかりしなきゃ。
「は、はいなのです!?」
「ああ……貴君が集積地を助けてくれた……」
気がついたら戦艦棲姫さんが、そのキレイな赤い瞳で私に微笑みかけていた。彼女は私のそばまで来ると、集積地さんと同じぐらいキレイな右手を私に差し出してくれる。とってもキレイな肌だ……私は戦艦棲姫さんのそのキレイな手を取り、握手した。やっぱり集積地さんと同じく、とっても暖かい手だった。集積地さんみたいに胸はぽかぽかしないけど。
「私の友達、集積地棲姫の命を助けてくれてありがとうイナズマ。本当に感謝する」
「い、電はただ……ほっとけなかったのです……小島でポツンと一人で仲間を待たなければならない集積地さんを……ほ、ほっとけ……なかったの……です……」
「そうか。……貴君は優しいな」
「そ、それは……集積地さんも……なのです……電と……とも……友達になってくれて……」
「ならば私も友達だ。ありがとうイナズマ」
言いたいことがまったくまとまらなくて、支離滅裂なことしか言えない私の手を握ったまま、戦艦棲姫さんはニコッと微笑んでくれた。集積地さんを見た。集積地さんも微笑んでいた。少しだけ寂しそうだけど微笑んでいた。
「アカギとテンリュウにも礼が言いたい。集積地棲姫たちと仲良くしてくれてありがとう」
「キヤァァアアアア!!」
私から手を離さず、戦艦棲姫さんは赤城さんと天龍さんにもお礼を言っていた。
「……いいえ。子鬼さんには私も色々と教えていただきました。友達というよりも、子鬼さんは私の相棒です。ね、子鬼さん?」
「キャッキャッ!!」
「これからも一航戦として、お互い頑張りましょうね」
弓を持ったまま赤城さんは笑顔で戦艦棲姫さんに近づき、そのまま子鬼さんと握手していた。天龍さんは……
「ん……な、なんだよ」
私たちから少し離れたところで、腕を組んでそっぽを向いていた。恥ずかしいのかな……
「天龍さんは、お別れは言わなくていいのです?」
「そ、そんなん言わねーに決まってんだろ!?」
天領さんはこっちにぷいっと背を向け、偉そう
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