14. 友達が帰る日(後) 〜電〜
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の『キヤァァアアア』という叫び声を上げながら、猛スピードで深海棲艦たちの方へと駆け抜けていった。次第に距離が詰まってくる私たちと深海棲艦。
もうすぐお別れか……。
集積地さんがピクリと反応した。同時に向こうの艦隊では、子鬼さんと戦艦棲姫が何やら会話をしているようだ。子鬼さんが戦艦棲姫の肩のへんな大きい化物みたいなところに飛び乗っていたから、こちらの事情が通じたのだろう。
「……提督」
「ん?」
「大丈夫だ。話はついた」
「ありがと。赤城、船速落としてちょうだい。このまま向こうと話をしよう」
「はい」
次第に距離が狭まってきた。私たちはもちろん、向こうも船速を落とし、ゆっくりゆっくりと近づいてくる。戦闘中でもこんなに近づいたことはないぐらいに、私たちは距離を縮めた。深海棲艦たちの息遣いも聞こえてきた。
「うはぁぁあああ……戦闘中でもここまで近づいたことはねーな……見てみろよ電、あの大将首みたいなの、肩になんかキメぇ生き物が乗ってるぜ?」
「そ、それを口に出したらダメなのです……集積地さんが聞いてるのです……」
「かっけーなぁ……俺もあんなの欲しいなぁ」
天龍さんがそんな気が抜けたことを言っていた。いつもは深海棲艦と遭遇した時は必ず武者震いをしていた天龍さんがこんなにリラックスしているのは、きっとこの場の空気がとてもリラックスした空気だからだろう。
でも……。
ヲ級さんたちをその場に残し、戦艦棲姫さんがボートのすぐそばまで来た。子鬼さんが乗っている大きな化物は、どことなく子鬼さんに似ている気がする。大きい分迫力は段違いだけど……私は戦艦棲姫さんと戦ったことはない。だから、戦うときの戦艦棲姫さんがどんなに恐ろしいのかは知らない。だけど、今のこの戦艦棲姫さんは……
「生きていたか。集積地」
「久しぶりだ。戦艦棲姫」
「何だその服は?」
「ぁあ、人間たちの室内着だそうだ。生活着として使わせてもらっていた。思い出がたくさん詰まった大切なものだ」
「随分着慣れてる感じがするな。よく似合っているぞ」
「お前もそれを言うか……」
集積地さんとは違うけど、やっぱりキレイな真っ赤な目をしていた。おでこと胸元から角が生えてるけど、表情はとっても穏やかだ。全然怖くない。とってもキレイな人だ。
「この者達がお前を……?」
「そうだ。私の命を助けてくれた。この一ヶ月は、この者達と一緒にいた」
「懐かしい仲間同士の会話中に失礼。貴君がこの艦隊の旗艦という認識でよろしいか?」
「ああ。この艦隊の旗艦、戦艦棲姫だ」
「俺はこの子たちの鎮守府の責任者をしているサクラバイツキ海軍大尉だ。先の戦闘において当方の駆逐艦・電が人道的観点から集積地棲姫を保護し、そのまま当鎮守府で治療と保護をしてい
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