14. 友達が帰る日(後) 〜電〜
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なんだか司令官さんが艦隊指揮を執っている姿を初めて見た。なんだ。司令官さんだって艦隊指揮出来るじゃないか。これからは私たち任せじゃなくて、ちゃんと指揮を取ってくれればいいのにな。
「……って顔でイナズマがお前のこと見てるぞ」
「集積地さん! 電の心を読まないで欲しいのです!!」
「冗談やめてよ……こんなん艦隊指揮の内に入らんでしょうが……」
そんなのどかな最後の会話を続けながら、私たちは暫くの間何事もなく航海を続けていた。そうして3時間ほど進んだ時。
「提督! 子鬼さんが戻りますよ!」
『キヤァァアアア!』という声と水しぶきを盛大に上げて、子鬼さんが戻ってきた。帰還が随分早い。子鬼さんはそのまま赤城さんの横につけて、一緒に水面を滑っていた。あの二人、あんなに仲良くなったんだなー……。
二人で並んで水面を滑っている赤城さんと子鬼さんが、お互い何か意思疎通をしているようだ。一時期は『子鬼さんと意思疎通が出来ません……』と言っていた赤城さんだけど、あの“あなたと空を駆け抜けたくて大作戦”を頑張ったことで、子鬼さんと意思疎通が行えるようになったそうだ。
「提督。前方に深海棲艦の艦隊がいます」
「編成は分かる?」
「……今私の偵察機が確認しました。ヲ級が1、駆逐イ級、雷巡チ級がそれぞれ2、戦艦棲姫が1ですね」
「あいよ。んじゃそろそろ白旗あげよっか。赤城、偵察機を回収して」
「了解しました」
司令官さんが足場が安定しないこのボートの上で、フラフラと立ち上がって白旗を上げた。今回のことがあって急遽作ったものかもしれない。真っ白い旗がとてもまぶしい。そのまま司令官さんは白旗を高々と掲げ、周囲に見えるように大きく振った。
そして同時に赤城さんの偵察機も赤城さんの元に戻ってきた。これから私たちは、深海棲艦と接触する。でも不思議と緊張しない。戦闘にはならないという安心感があるからだろうか。それとも……
「……」
私の隣に、同じ深海棲艦で私の友達、集積地さんがいるからだろうか。
前方に深海棲艦の姿が見えてきた。はじめこそ戦艦棲姫の主砲がこちらを向いているのがこちらからも見えたが……私たちの白旗が見えたからだろう。その主砲はすぐに私たちから狙いを外していた。
「戦艦棲姫が来てくれたか……」
集積地さんが、ぽそっとそう言っていた。彼女は、初めてオレンジ色の夕日を見たときのような、懐かしさで泣き出しそうな表情をしていた。
私の心が理解した。集積地さんとの別れが近い。
「集積地、子鬼はみんなと意思疎通は出来るの?」
「出来る。メッセンジャーとして向こうに行かせようか」
「うん」
集積地さんが子鬼さんを見て、小さく頷いた。それを受けて子鬼さんは、いつも
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