アポカリプス
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の先代主の娘、そして眠り姫」
「また会えるのをずっと楽しみにしていたわ……」
「ポー子爵……エドガーとヴァージニア!」
「もう少しで全部のデータを収集できるのに……このタイミングで!」
「そう熱くならないでくれ。戦闘なら相応しい場所を用意してある、焦る必要は無いよ」
「アナタ達が集めている記録は、パーティーに間に合ったご褒美よ。そのまま集めて持って行くと良いわ……」
目の前で対峙しながら余裕綽々と微笑むポー子爵。まだデータの収集中である以上、下手に戦闘になって記録が壊れでもしたら目も当てられないため、ジャンゴ達も今は戦闘に踏み切る事が出来なかった。
「さて……眠り姫こと高町なのは。今の話を聞いて、キミはもう理解しているんだろう? 自分が何者であるかを」
「…………」
「認めたくないの? それとも驚きのあまり、頭の中が落ち着かないの?」
「…………」
「まあいいさ。人間、自分の存在が怪しくなれば動揺の一つもして当然だ。よくある出来事だから周りの目は気にしなくていいよ」
「人間って不思議よね。自分がこの世に生まれた方法ですら気にするんだもの……その時の記憶もないのにどうしてかしら?」
「その点、ボク達は気にする意味が無い。アンデッドには生まれ方や人種の差別なんて概念がないからね。皆平等さ」
「ほんと……人間は自ら争いの火種を作ってるようにしか見えないわ。相手が自分と違うからと言って傷つけあう愚かな存在……」
「違うから争いを生むというなら、皆同じ存在になれば争いなんて起こらない……」
「進化を止めれば、皆同じ場所に立てる……」
「銀河意思はそのために吸血変異を起こした。銀河の存続のために……」
「ヒトはアンデッドになってこそ、真に手を取り合えるのよ……ねぇエディ?」
「その通りだね、ジニー。管理局なんかに任せていては、遠からず世界は破滅する。銀河意思の下でこそ、ヒトも世界も正しい姿になれるんだ」
まるで誘蛾灯のように惑わす言葉を交わし合うポー子爵。彼らから放たれる言葉は存在意義を見失い、心を砕かれた者から見れば甘美に聞こえるだろう。傍で聞いていたフェイトも、2年前のジュエルシード事件でもしサバタもいない状況でこのような言葉を言われたら、つい頷いてしまいそうなぐらいの誘惑性があると感じていた。無論、今のフェイトは同意する気などさらさら無いが、今のなのはには現在進行形で漂ってくる以上、心配してしまうのも無理はなかった……が、それは一人の笑い声によってかき消された。
「フフフ……あっはっはっは! アンデッドになれば手を取り合える? 同じ存在になれば争いは起こらない? なにそれ、馬鹿馬鹿しくて笑っちゃうね! フッハッハッハッハッハッ!!」
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