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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百一話 ある仮説
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『追放すれば、帝国はフェザーンへ侵攻する理由を失う。反乱軍は密かにフェザーンの長老会議にルビンスキーを追放しろと働きかけたようじゃの、上手い手よ』

確かに上手い手だ。同盟はフェザーン侵攻が同盟のためにならないと思った。しかしみすみす帝国のフェザーン進駐を認めるわけにはいかない。そこで侵攻の理由そのものを消してしまおうと考えた……、そういうことか。

「しかしルビンスキーは追放されませんでした……」
『うむ、長老会議は何故ルビンスキーを追放しなかったのか、何を考えたのか、反乱軍の新高等弁務官はそのあたりを調べているらしい、確かに妙な話じゃ』

「それで、何か分かりましたか」
『いや、レムシャイド伯の調べでは反乱軍は何も分からぬようじゃの。じゃが……』
「?」
リヒテンラーデ侯が口篭もった。躊躇っている?

『連中はどうもフェザーンには裏の顔、真の実力者が居るのではないかと考えているようじゃ』
「……」
地球教と特定は出来ないがフェザーンには何かがあるとは気付いたか。手強いな、誰が気付いた? ヤンか? だとすると同盟の政府、軍部の連携はかなり良い、原作とは違う……。

『卿は驚いておらんの。馬鹿げているとも考えておらんようじゃが……』
「リヒテンラーデ侯はどう思われるのです?」
『分からん、半信半疑、そんなところかの。しかし気になるのも事実じゃ……』

「小官も同様です。注意が必要でしょう」
地球教を出すのはまだ早いだろう。なんといっても証拠が無い。反って不審がられるだけだ。注意を促がすだけでいい、話を変えるか。

「リッテンハイム侯が辺境星域に出撃しました。兵力は約八万隻……」
『!』
リヒテンラーデ侯が緊張するのがスクリーンからでも分かった。

「別働隊に撃破せよと命じました。大きな戦いになると思います。辺境星域の支配権をかけた戦いになるでしょう」
『負けられん一戦じゃの、大丈夫か? 別働隊は』
心配か、御老人。

「大丈夫です。私は彼らの能力に不安を持った事は有りません」
『ほう、頼もしいの。卿の自慢の部下達か』
リヒテンラーデ侯が笑い声を上げた。

その通りだ、俺の自慢の部下達だ。曹操もアレクサンダーもナポレオンも彼らを知れば俺を羨むだろう。そう考えた事が幾分照れくさかった。俺も侯に合わせて笑い声を上げた。もう一度思う、俺の自慢の部下達だ。


リヒテンラーデ侯との通信を終えた後、俺は一人スクリーンを見ながら地球教の事を考えていた。地球教、あの連中を放置は出来ない、始末するのであれば帝国、同盟の両方で一気に行なう必要がある。時期的には内乱終結後、捕虜交換の調印式で依頼する、そんなところか。

地球教の正体を知れば驚くだろうな、同盟政府は。そして百年以上前に同盟と地球教が協
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