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第六十六話 宇宙艦隊副司令長官を代行することになりました!!
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「そううまくいくかしら?」
私はそうは思わないと言わんばかりの口ぶりだった。
「うまくいかせたいものですわね。と、言いますか、勝利のためにはうまくいかせるようにしなくてはなりません。それが軍人というものでしょう?閣下、あなたも含めて。」
またウィトゲンシュティン中将が言葉を詰まらせた。
「建前論を申し上げて恐縮ですけれど、軍人は公僕です。私情を優先させることは許されませんわ。私情を優先させるにしても国家と相反する利害のために動くことはあってはならないのです。」
そう言いながらもシャロンの微笑は消えない。
「閣下は亡命者でいらっしゃいますわね。しかもご自身の御家に許された『エルク』という称号を今だに公然と使用していらっしゃるとか。」
「それが何か?!」
ウィトゲンシュティン中将が古傷を撫で上げられたかのように不快そうな顔をしている。
「つまりは帝国領内に侵攻し、自分の御家につけられた屈辱を晴らしたいのですわね。」
さりげなく、しかしすばりと差し込まれた言葉はウィトゲンシュティン中将の顔色を変えさせるに十分だった。
「その志はご立派ですわ。御家再興のために自らを犠牲にして戦うとは。ですがそれは個人のレベルで賞賛されるもの。国家のために尽くす軍人という立場を加味すると少々、いいえ、とても厄介な事になると思いますけれど。」
「くっ・・・・!!」
思わず悔しそうな声がウィトゲンシュティン中将の可愛らしい唇から洩れた。シャロンの言葉はうわべはともかくとして、相手を憐れむ気持ちなどなく、むしろ気持ちを逆なでさせるようなニュアンスが含まれているとウィトゲンシュティン中将は思った。
「あなたに私の何がわかるというの!?」
次の瞬間ウィトゲンシュティン中将が我慢ならないように叫び、拳をデスクに叩き付けていた。日頃冷静と言われている仮面をかぶっている人間ほど激昂した時にはそれに反発するがごとく怒ることをシャロンはよく知っている。にもかかわらずウィトゲンシュティン中将を起こらせたのはこの際彼女の本音を全部聞き出してしまおうという目的があったのだ。
「亡命者として、どんなにか肩身が狭い人間がこの自由惑星同盟領内にどれだけいるか・・・あなたは知ってる?!私たちは一日千秋の思いでじっと耐え忍んできたのよ、故国に復讐して胸を張ってこの自由の国で真の意味で自由に生きる権利を獲得することを!!」
「それが?」
「それが!?」
あっさりと受け流すシャロンに、ウィトゲンシュティン中将が信じられないという顔をする。
「それが!?あなたは私たちのこと、全然理解しようともしてくれないの!?なんて――。」
それ以上言葉を続けられなくなったのか、わなわなと両手を震わせている。理性のリミットがなかったら、即シャロンの首根っこをつかんで絞め殺したいと言わんばかりである。
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