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第六十六話 宇宙艦隊副司令長官を代行することになりました!!
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「あらあら、ずいぶん短気なことですわね。艦隊司令官たるものが他人の部屋で激昂するとは。戦場であのミューゼル艦隊を手玉に取って一矢報いた閣下とは思えませんわ。」
シャロンは微笑を崩さなかった。ウィトゲンシュティン中将の激昂ぶりなど予測の範囲内と言わんばかりである。
「閣下のお気持ちはわかりますわ。また、帝国からここに亡命し、肩身の狭い思いをされている方々がずいぶん大勢いることも承知しております。そうですわね、下手をすれば就職さえままならないことが多いと聞いております。皮肉なものですわね、受け入れる側にしても『開拓した16万人の純血の子孫。』であるかどうかもわからないというのに。いえ、そもそも論として彼らの先祖も皆もとをただせば帝国の奴隷だったのですから。」
気持ちがわかると言っておきながらどこか突き放して、冷笑を浴びせられているようで、ウィトゲンシュティン中将は怒りに身を震わせていた。
「シャロン少将――!!」
だが、次の瞬間ウィトゲンシュティン中将は違う意味で体を硬直させていた。シャロンがぐっと身を乗り出し、ウィトゲンシュティン中将にささやいたのだ。それだけならまだしも凄まじい殺気が彼女を身動きできないように縛り付けていた。


「死にたくなかったら、おとなしくしていることですわ。・・・・さもないと思わぬところで足元をすくわれますわよ。」


微笑と共に低い声で囁かれた絶対零度を纏った言葉にウィトゲンシュティン中将は身を震わせた。一瞬体温が凍死寸前にまで低下したのが感じられた。ザアッと音を立てて血の気が引いたのが感じられた。
突然あたりが明るくなった。シャロンが殺気を解いて、ウィトゲンシュティン中将に話しかけていたのだ。
「わかってくださったようで何よりです。では中将閣下、またお会いできることを楽しみにしておりますわ。有意義な話し合いでした。」
シャロンは優しく中将の手を取ってオフィスの外に案内した。蹌踉とした足取り、青い顔のウィトゲンシュティン中将と対照的に微笑を浮かべているシャロンに居合わせたスタッフたちはただ顔を見合わせるばかりだった。

パタン、と音がした時にはウィトゲンシュティン中将の身体は第一戦略課のドアの外、廊下に押し出された後だった。彼女は気分が悪そうに廊下に寄り掛かっていた。体に何一つされたわけでもないのに、ひどく気分が悪かった。あれほどのことをされたのは24年間生きてきて初めての事である。屈辱もあったがそれ以上にずっと彼女を支配していたのは恐怖だった。
「どうか、されましたか?」
後ろで声がする。振り向くと、一人の青年准将が心配そうな顔をこちらに向けていた。
「い、いいえ、大丈夫・・・・別に何とも・・・・。」
そう言いながらウィトゲンシュティン中将が壁に頭をぶつけた。慌てて准将があたりを見まわし
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