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「晩秋の月だけが。」
月夜の籠城戦
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山野殿は自身の息女を
側室同士の争いに
巻き込みたく無かったのだ。

…里香姫は美しい。




…使者が去った後、
若殿は無言で
天井を見上げていたが、、、

「父上が…、」

「おそらく、
詰腹を切らされたので
ございましょう。」

「うむ、我らに謀叛の意志など、」

「如何に成されます?」

「猫殿、今までの御厚誼に
感謝致す。早急に御城下に
戻られよ。」

「いや、拙者の力不足が
この次第、拙者は、、、」

「いや、色々と骨を折って頂き、
お館様に取り成して頂いた、
父上より、聞いております。」

「若殿は?あ、いや、
殿はどう為されますのか?」

「一戦交えるのみ。
有らぬ謀叛の疑いを
掛けられ、父上は切腹、
その上、姉上を差し出せとの仰せ、
如何にお館様とは云え、
飲める話では無い。」

「御意。ならば御一緒致す。」


、一瞬の沈黙。

「誠にか?」

「若殿を置いて、拙者が
帰るとお思いか?」

「笑、いや。
…姉上も喜びましょう。」

「は??」

「鈍い、鈍い。笑笑
軍議じゃ、皆を集めよ!」




真夜中の軍議の席。

冬が近い。
広間の板の間の床は冷える。


「父上が詰腹を切らされた。
謀叛の疑いだそうだ。笑
姉上を側室に差し出せば
恩情が有ると言う。
その方らの意見を聞きたい。」


「何と!殿が?!」
「誠にござるか?!」
「謀叛とは何たる言い掛かり!」
「一戦交えるのみ!!」
「お館は、石高の高いこの地が
欲しいに違いない!!」


「お静まり下さい。
多勢に無勢、滅亡は免れない。
鎌倉以来の御当家は、失礼ながら
ここに滅び去る。
謀叛人の汚名をきせられてだ。
だが、正義は御当家に有り、
今宵の月は、それを知っている。

…徹底抗戦とあらば微力ながら
この猫、尽力致す所存にござる。」



軍議は紛糾したが
家名を残す方に傾く意見は
徹底抗戦派に押し切られた。

山野越前守は謀叛人として
…断罪されたのだ。


父上の仇を討ちたい若殿は、
ほっと安堵の色を見せ、

「よいか?
交戦で一致でよいな?!
聞いての通り、
猫殿も御味方下さる。
百人力だ!笑笑」

「おー!!これは心強い!!」

「さては猫殿も姫様を
お館に取られたく無いと
お見受け!!笑笑」





交戦の意志を伝えに送った
使者は帰って来なかった。
殺されたのだろうか。
あの伊勢崎兄弟の
やりそうな事だ。



…大手門、搦手門、北の門。
明け方より
いきなり総攻撃を受けた。
月見の
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