外伝
外伝《絶剣の弟子》G
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
因はきっとあのことだ。
「…………どうしようか」
必然、ユウキさんの病気に関する詳しい事情も色々と知ってしまったし、その後のこともある程度分かってしまった。
汗を流し終わり、着替えると頭を拭きながらスリープモードだったパソコンを起こす。確か最近、医療関係のニュースで少し騒ぎになった記事があった筈だ。
「……あった」
【医師・水城雪螺、薬剤耐性型AIDSの治療に成功】
水城雪螺はニュースでも偶に見かける有名人だ。完治不可、難病と呼ばれる病気の治療に当たり、幾つかの画期的な治療法を編み出した。しかしその多くはまだ事例が少なく、人体実験の域を出ない。無論、保険も適用されず、高額な費用がかかることもある。
今回の治療法もまだ正式に認可が降りていない中、本人の同意の元、特例として行われていた、とある。水城雪螺が行う治療ではよくあることだ。
その記事にはそれ以上の詳しいことはないが、後日の記事でそれが【横浜港北総合病院】に入院している10代の女の子に対して行われたことだったとある。プライバシー保護の関係からか、その子について他の情報は殆ど無く、後はこの治療法の理論や問題点、改善点などが挙げられているのみで、その後はいくら探しても女の子に関する情報は無かった。
しかしこれだけ分かれば、かなりこの女の子がユウキさんであるという確率は高くなった。
「……後は、聞いてみるしかないかな」
ここでその病院に行ったところで何か分かるとも言えないし、何より部外者に患者のプライバシーのことを話したりはしないだろう。ユウキさんだってとっくに退院しているみたいだし、偶然検査にでも来てない限りはーーー
『あー楽しかった!じゃあねライト。今夜、頑張って!』
『はい……かなり不安ですが』
『うーん、じゃあボクも一緒に……』
『こーらユウキ?明日検査なんでしょう?早く寝ないとダメだよ?』
『う……分かってるよぅ……ごめんね、ライト』
『いえ、気にしないで下さい』
…………そう言えば今日、検査だとか言っていたな。
それだけ考えると、急いで出かける支度を整え家を出る。
会ってどうするのか、どうなるのか。
俺が愚かだった為にしてしまった選択は変えられない。謝ろうにも本人はもう居ない。ユウキさんにそのことを話しても、どうということはない。むしろ、酷いことをするだと思われるかもしれない。しかし、
(隠しながら、一緒にいる方がよっぽど嫌だ)
言わないより、言う方がいい。その結果がどうなろうとも。必要がないのかもしれないけれど、俺が必要だと感じたから。
もし、ユウキさんが助けを必要としたら、今度は必ず俺がその手を取れるように。取る勇気を持つために。
今日、一歩を踏み出す。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ