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外伝
外伝《絶剣の弟子》G
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因はきっとあのことだ。

「…………どうしようか」

 必然、ユウキさんの病気に関する詳しい事情も色々と知ってしまったし、その後のこともある程度分かってしまった。
 汗を流し終わり、着替えると頭を拭きながらスリープモードだったパソコンを起こす。確か最近、医療関係のニュースで少し騒ぎになった記事があった筈だ。

「……あった」

【医師・水城雪螺、薬剤耐性型AIDSの治療に成功】

 水城雪螺はニュースでも偶に見かける有名人だ。完治不可、難病と呼ばれる病気の治療に当たり、幾つかの画期的な治療法を編み出した。しかしその多くはまだ事例が少なく、人体実験の域を出ない。無論、保険も適用されず、高額な費用がかかることもある。
 今回の治療法もまだ正式に認可が降りていない中、本人の同意の元、特例として行われていた、とある。水城雪螺が行う治療ではよくあることだ。
 その記事にはそれ以上の詳しいことはないが、後日の記事でそれが【横浜港北総合病院】に入院している10代の女の子に対して行われたことだったとある。プライバシー保護の関係からか、その子について他の情報は殆ど無く、後はこの治療法の理論や問題点、改善点などが挙げられているのみで、その後はいくら探しても女の子に関する情報は無かった。
 しかしこれだけ分かれば、かなりこの女の子がユウキさんであるという確率は高くなった。

「……後は、聞いてみるしかないかな」

 ここでその病院に行ったところで何か分かるとも言えないし、何より部外者に患者のプライバシーのことを話したりはしないだろう。ユウキさんだってとっくに退院しているみたいだし、偶然検査にでも来てない限りはーーー



『あー楽しかった!じゃあねライト。今夜、頑張って!』
『はい……かなり不安ですが』
『うーん、じゃあボクも一緒に……』
『こーらユウキ?明日検査なんでしょう?早く寝ないとダメだよ?』
『う……分かってるよぅ……ごめんね、ライト』
『いえ、気にしないで下さい』


 …………そう言えば今日、検査だとか言っていたな。
 それだけ考えると、急いで出かける支度を整え家を出る。

 会ってどうするのか、どうなるのか。
 俺が愚かだった為にしてしまった選択は変えられない。謝ろうにも本人はもう居ない。ユウキさんにそのことを話しても、どうということはない。むしろ、酷いことをするだと思われるかもしれない。しかし、

(隠しながら、一緒にいる方がよっぽど嫌だ)

 言わないより、言う方がいい。その結果がどうなろうとも。必要がないのかもしれないけれど、俺が必要だと感じたから。
 もし、ユウキさんが助けを必要としたら、今度は必ず俺がその手を取れるように。取る勇気を持つために。
 今日、一歩を踏み出す。


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