30部分:第二十九話
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第二十九話
第二十九話 意外な効能
博士が作り上げたあらたな農薬。今度は何と真っ黒であった。
「あからさまに胡散臭いですね」
「よい色だな」
「本気なんですね」
「何十回も言うがわしは常に本気だ」
「その本気でどうするんですか?」
小田切君は表情を変えずに問う。
「その農薬を」
「これを撒いてみる」
「ここでですか?」
「まずは実験じゃ」
「庭の花でですね」
「うむ、庭の花でじゃ」
「あれも本当に処分しないとな」
小田切君の呟きには背景がちゃんとあった。何と研究所の庭の花はどれも食人植物なのである。どっかのSFに出てきそうなのが本当にある。中には歩いているものすらあるのだ。時折街に出て子供を襲って騒ぎを引き起こしている。
その悪質な花ばかりの庭に来た。いきなり蔦で襲い掛かって来る。
「甘いっ」
博士は電気鞭でそれを退ける。数千万ボルトの電流でも死にはしない。
「何か水も何もやっていないのに増えていますね」
庭は殆どジャングルになっていた。中から得体の知れない鳴き声が聴こえてくる。何がいるのかさえわかりはしない。
「どうなってるんですか、ここ」
「どうやら自然に繁殖したようじゃな」
「自然にですか」
「時折実験に使った凶悪犯を放り込んでいる」
「証拠隠滅ですか」
「安心せい、犯罪者しか実験に使ってはおらぬわ」
「それでも人体実験もやっているんですね」
「悪人を善行に使う。いいことではないか」
博士は何も悪いとは思ってはいない。
「そうではないのか?」
「で、その犯罪者達は誰か出て来ましたか?」
足下には白い骨まで転がっている。
「何か何処まであるのかわからないジャングルなんですけれど。この庭って異次元だったんですか」
「一応つなげてはいる」
博士はそうしたことにも余念がない。
「若しかするとあの中にはヤ〇ールがいるかもな」
「この植物と一緒に全滅させましょう、そんなの」
「そうじゃな、奴等は邪悪だ」
博士は狂気である。そこが大きく違う。
「わしの実験の邪魔になるかも知れんからな」
「それでその農薬で実験ですよね」
「うむ、では撒くぞ」
「はい」
「そらっ」
フラスコごと放り投げる。それが割れた時突如として黒い炎が沸き起こった。そして植物達を瞬く間に焼き払っていったのであった。
「農薬ですよね」
黒い炎を見て小田切君が問う。
「そうじゃが」
「何で日が?」
「実は害のある生物や植物だけを焼き払うようにしたのじゃ。特定の遺伝子のものだけをな」
「害虫とかそうした植物のですか」
「そうじゃ。どうやらこの植物は全てそうだったようじゃな」
「はあ」
「まあこの植物のサンプルも頭に入っておる。また作れ
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