13. 友達が帰る日(前) 〜電〜
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だかとてもショックだったようだ。口をとんがらせて『なんだよちくしょっ』と悪態をついていた。やっぱり天龍さんも寂しいんだろうな……。
大淀さんが、自身の腕時計をチラッと見ていた。つられて私も、ドックの時計を見る。時間はそろそろ10時。
「提督、そろそろ」
「ほいほい。んじゃみなさん、行きますか」
この司令官さんの言葉を受け、私たちは水面に立ち、主機に火を入れた。エンジンの音がドック内に鳴り響き、ドック内がにわかにうるさくなってくる。
「オオヨド」
「はい?」
「お前にも世話になった。本当にありがとう」
「いえ。あなたがうちに来てくれて、本当に楽しかったです。私も集積地さんには、色々とお世話になりました」
集積地さんは司令官さんが待つボートに乗る前に大淀さんに声をかけていた。その後、大淀さんに耳元でボソッと何かをつぶやいた集積地さんは、そのままいたずらっぽい笑みを浮かべながら足早にこっちに来て、ボートに飛び乗っていた。
「ぇえッ!? な、なんで……バレ……ぇえッ!?」
「見てれば分かるよ!」
「あの……あの……!!」
「オオヨド! がんばれ!!」
「……はいっ! 集積地さん、ありがとう!!」
どうやら集積地さんは、大淀さんに何かエールを送っていたようだ。顔を真っ赤にした大淀さんは、涙目だけど満面の笑みで、集積地さんに感謝を述べていた。
「大淀への挨拶はもういい?」
「お前もそろそろ真面目に身の振りを考えた方がいいんじゃないか?」
「どういうことよ?」
「灯台下暗しってやつだよ」
「?」
そしてそれは、なんだか司令官さんも関係あることのようだ。天龍さんに送った言葉を司令官さんにも送ったほうがいいのかも知れない。知らぬは本人ばかりなり。
「……まいっか。んじゃ行こう。しゅっぱーつ」
「「「了解!!」」」
司令官さんは頭にはてなマークを浮かべながらも、私たちに出発の合図を出した。その合図に従い、私たちは主機の出力を上げ、集積地さんと司令官さんが乗るボートの曳航を開始する。出撃口から外に出て、私たちの全身が太陽に照らされたとき……
「あ!」
「キヤァァアアアア!!」
「戦闘機なのです!!」
戦闘機が3機、大空を舞っていた。今日は雲ひとつない、とってもいいお天気。真っ青な大空に、戦闘機のカーキ色はよく映えて、とてもキレイに見えた。
「……鳳翔さんですね」
赤城さんがそういい、食堂の方を指差した。食堂の建物の屋上で、鳳翔さんがこちらに向かって満面の笑みで手を降っていた。
鳳翔さんの戦闘機たちは、私たちの頭上で見事なアクロバティック飛行を行っている。その様子は本当にキレイで、曳航中の私たちと集積地さん、そして赤城さんの肩に乗る子鬼さん
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