第三十七話 三年生なのでその六
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「嬉しかったわ」
「そうね、長池先輩はいい人だったわね」
「怖いって言う娘もいたけれど」
「何かそんな感じもしたのよ」
「何処が?」
はじめてお会いした、寮に入った時から物凄く親切な人でした。それでどうして怖いのか私には全然わかりません。
「怖いの?」
「何か怒ると怖い?」
「あの人怒るの?」
「いや、そうしたお話は聞いたことないけれど」
「怒ることもされないし」
物凄く温厚な人です。
「あんないい人そうはいないけれど」
「ちっちはそう言うわね」
「一年間同じお部屋だったし」
それで何かと教えてももらいました。
「よく知ってるつもりよ」
「まあね、ただちっちって長池先輩大好きね」
「ええ、そうよ」
その通りと答えました。
「あんないい人滅多にいないから」
「だから怖いっていう話もなのね」
「そんなことないから」
私は友達に心から言いました。
「同じお部屋に一年いたから言えるわ」
「そうなのね」
「何もかも教えてもらったし」
手取り足取りで、でした。
「高井先輩や佐野先輩にもお世話になったけれど」
「長池先輩には特にっていうのね」
「そうよ、だから言えるの」
先輩がどれだけいい人かということをです。
「天理大学に行ったらまた先輩と後輩ね」
「そうなるわね、私にしても」
「ああ、みっちも天大行くのね」
友達の仇名を言って尋ねました。
「そのつもりなのね」
「ええ、そうよ」
「じゃあ大学の四年間も一緒かもね」
「その時は宜しくね」
「こちらこそね」
お互い笑顔で言い合いました。
「宜しくね」
「大学行きたいわね」
「出来る限りね、ただね」
私は友達にこうも言いました。
「私はもう将来はどうするか決めてるから」
「教会ね」
「そう、そのことは絶対だから」
本当にそうなっています。
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