一話 士郎、異世界に立つ?
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だよね。
「さて、おいどん歩けるでそうろう。いざ、まいらん!天竺へ!」
「そ、そうね。
天竺は解らないけど」
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この国の市場を改めて歩いて感じたこと、それは活気の良さだ。
最初、ここを通った時は疑心暗鬼で周囲を警戒しながら通っていたので人混みに紛れながら歩いてもそんな事は思わなかったが、改めてこの人混みに紛れるとそう実感させられた。
「それにしても……凄い、賑わいだな」
「今日は少ないくらいよ。
普段はもっと凄い人盛りなんだから」
……もっと。今より多いなんてどれだけの人混みなんだろう。
今日、買物で出向いた商店街なんて比じゃないほどの人の数。歩くだけで一苦労だ。
「それで、エミリアは何処に向かってるんだ?」
士郎を先導するように先に進むエミリアに言った。
それにしてもよく、こんな人混みの中をすいすいと行けるもんだ。この道を歩き慣れてるのかな?
「確か、この辺だったと思うけど」
エミリアは人混みの中、左右を見渡し、何かを探し始めた。
「何を探してるんだ?」
「この王都を見回る衛兵の詰め所……なんだけど。あんまり、ここら辺を歩いたことないの」
虚著らと右に行こうか、左に行こうかと悩むエミリア。
「そ、それなのにそんなすいすいと歩いてたのかよ」
「だって、シロウは困ってるんでしょう?
困ってる人は助けなきゃ」
子供じみた発言で俺の手を引っ張るその姿は幼き少女のものだった。見た目は俺と同じくらいなのに行動は幼く見える。
「それで、その詰め所ってのはどんな所なんだ?」
「困ってる人を助けてくれる場所」
なんと大雑把な返答だろう。
なんか不安になってきたので少し、質問の仕方を変えることにした。
「それって悪い事をした人達をとっ捕まえる所かな?」
「ん、そうね。そういう事もしてたわね。身元不明な人を取り調べしたり、悪さした人を事情聴取したり」
「ちょ、そんな所は行きません。
リターン! 回れぇ右!」
「なんで?
シロウは困ってるんでしょ?」
「うん、困ってます。
でも、そこって警察的な何かですよね!?」
「ケイサツ……?
ごめん、何を言ってるのか解らないんけど」
どうやらこの世界には警察が存在しないらしい。いや、これは考え方を変えよう。ここは昔、一回り昔の世界としよう。勿論、そんな時代に警察なんて存在しないない。なら、その警察の代わりはなんなのか?
そんなの考えなくても解る。
「怪しい人や悪さした人をとっ捕まえてお金をゲットする野蛮な人達の集まる所だよ」
「そ、そんな所なの?
ケイサツって恐い」
警察への風評被害になっているが、ここは異世界だ。特に問題は無い……よ
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