一話 士郎、異世界に立つ?
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みたいな視線を向けられる。
「士郎でいい、その精霊ってのはなんなんだ?」
「本当に知らないの?」
「リア、彼は本当に精霊を知らないみたいだよ」
その精霊とやらは俺の瞳を見据えて。
「それにしても……なんて穏やかな心の持ち主なんだ。君、本当に人間?」
「失礼な、どう見ても人間だろ。
何処を見たら俺を人間以外の生物に見えるんだよ」
「その真っ直ぐな瞳だよ、まるで龍の心の様だ」
「それは褒めてるのか?
よく分かんないニュアンスなんだけど」
「褒めてるよ、君みたいな人間はごく稀だからね。今日は絶滅危惧種に会えて嬉しいなぁ」
「馬鹿にしてる?
ねぇ、馬鹿にしてるよね?」
「はいはい、その辺で」
とエミリアが割って入ってきた。
「パック、初対面のシロウに失礼じゃない」
「いやぁ、この子の反応が面白くてさ、ついね」
「あんまりいじめないの。
うちのパックがごめんね、シロウ」
「エミリア……僕の娘よ、父である僕の事をそんな風に扱うなんて。君は成長したんだね、それは嬉しくもあり悲しくもある」
「はいはい、そうですね」
そんな光景を。
なんて茶番劇を目の当たりにすると自然と俺は笑みを零していた。
「うん、さっきのうんざりした表情とはうって変わって笑顔だね」
パックはニコッと微笑み。
「朴念仁みたいな子かと思ったけどちゃんと笑えるじゃん」
「やっぱお前、失礼な猫だな」
「猫じゃない、パックだよ」
「あぁ、パック。お前は失礼な猫だよ」
互いに謎の笑みを零しながら互いの拳を叩き合う。
「あの、これはなんなの……?」
完全に置いてきぼりのエミリアは問い掛ける。
「これは友情の印みたいなもんだよ」
「友情って……もう、友達になったの?」
「エミ、友達って言うのは自然と出来るものなんだよ」
「そ、そうなんだ。
友達って友達なろって言ってから友達になるんだと思ってた」
「まぁ、それも正当法の一つだな。でも、本当の友達ってのはそんな事、言わずにいつも間にか友達になってるんだぜ」
「……不思議、なんでこんなに説得力を感じるの」
「それは目の前の光景を目の当たりにしたからさ。友達になるのに言葉なんて必要ないんだよ」
「そう、なんだ。
ふむふむ……友達になるのに言葉なんて必要ない」
エミリアの表情は理解できるようで理解できないようだけど彼女ならいつかきっと理解出来るだろう。
あれ、なんかその考え方だとエミリアはボッチって事になるけど……。
「そのエミリア……さん?」
「ん、エミリアでいいよ」
「お、おぉ。じゃあ、エミリア」
「なに、シロウ」
「ちょっと聞きたい事が、あるんですけど」
「ここは一体、
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