一話 士郎、異世界に立つ?
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で緊張する。
「怪我は……してなさそうね」
少女はそう言って安堵の表情を見せた。
今、少しだけ見えた。
フードの下の少女の素顔が。
一瞬しか見えなかったけど……凄く、物凄く綺麗だった。歳は、俺と同じ位だと思うけど。こうも美人だと目を合わせづらい。
「さっきからどうしたの?
そわそわしてるけど」
「あれだよ、リア。君の事を意識してるんだよ。君があまりに可愛いから」
「はいはい、煽てても何も出ませんからね」
いや、その猫の言う通りなんですよね。私し、貴女様に緊張しております。
「それで貴方は?
ここでは見慣れない服装だけど?」
はい、私しも貴女様の服装は見慣れません。なんて言っても通じないんだろうな。ここはちゃんと自己紹介するとしよう。
「俺の名前は衛宮 士郎。
そうだな、職業は流れ者だ」
「流れ者って職業、初めて聞くんだけど。それにエミヤ シロウ?」
慣れぬ名前の呼び方なのかカタゴトで言われた。
「変わった名前ね……もしかして貴族の人とか?」
「いや、俺は普通の庶民だよ」
「ふーん、エミヤ シロウ。いい名前ね」
エミ……エミリアは「エミヤ、シロウ……シロウ、エミヤ シロウ……」とカタゴトで俺の名前を何度も復唱する。そんなに変な名前かな?
普通の名前だと自負している士郎からすれば複雑な気分だ。馬鹿にはされてないと思うけど変な名前だとは思われているのだろう。
「で、君の名前はエミリアでOKかな?」
するとエミリアは。
「ど、どうして私の名前を知っているの?」
なんてコントみたいな返しをしてきた。
「そこの仔猫が君の事をエミリア、またはリアって呼んでたから」
「ぁ、あぁ、そういうことね」
胸を撫で下ろし「ふぅー」と溜息を付くエミリア。その仕草に少し疑問を抱いた。
まるで自分の名前を知られたくないような……そう、自分の正体を隠している様な。
いや、そんな訳ないか。自分の名前を知らないはずなのに急に呼ばれたから驚いてるだけか。
「で、その仔猫の名前は?」
「ンニャっ?」
エミリアの肩の上で目元を擦っている姿なんでまさに普通の猫そのもののだが、あの猫は人間の言葉を喋る猫。普通の猫な訳がない。
「僕の名前はパック。
しがない精霊だよ」
────精霊?
「しがなくなんてないわよ。
パックはとても凄い精霊なんだから」
「それは言い過ぎだよ」
なんて言いつつ照れてる猫……パック。
なんか名前と見た目が一致しないような気もすけど今は置いといてっと。
「その……精霊ってなんどす?」
「なんどす……?
また、使い回しのよさそうな言葉……じゃなくてエミヤ シロウは『精霊』を知らないの?」
一般常識ですよ?
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