一話 士郎、異世界に立つ?
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物以外、使えそうなものがない件について」
空腹に困ったら、手持ちの食料を食べればいい。幸い、買物帰りで食料には余裕がある。これなら数日は生き延びれるだろう。
いや、待て生き延びれるってんなんだ。
おいおい、落ち着け俺。
今時、餓死で死ぬってありえんの?
いや、そういう問題でもないだろ。
「困った、なんでさ」
溜息を付き、その場から立ち上がる────その時、物騒な輩と目があった。
いかにも悪さしてますよ感まんまんの男達。男達はヘラヘラと笑いながらこちらにやって来る。
「……これは、」
気付けば囲まれていた。
「おまぇ、見慣れねぇなりだな」
「こりゃあ上物そうだ」
「さっさと身包み剥ぎ取ろうぜ」
「…………」
この状況は……もしかして俺は物盗りに狙われているでOKなんだろうか?
もしそうならこれは貴重な体験だ。
まず、日本じゃあ有り得ない。いや、有り得ない訳ではないけど士郎にとっては初めて『カツアゲ』された認識に近い。
「んんっだ、コイツ?
さっきから黙り込んでやがるぜ?」
「ハハッ。もしかしてビビってる?
ビビちゃってる?」
「俺達に狙われたのが運の尽きだな。さっさと身包み置いてけば命は助けてやるぜ」
なんて男達はこの状況を楽しんでいる。
士郎は考えていた。
何故、この男達はこんなことで楽しんでいるのだろう?何故、楽しめるのだろう?
そして何故、『笑っていられるのだろう』
「おい、聴いてんのかよぉ」
男は襟元を掴み、士郎を体ごと持ち上げる。
「随分と静かだな……気味が悪いぜ」
────それは俺の台詞だ。
「さっさと済ませようぜ、俺りゃあ腹減った」
────俺もだよ、今日の晩飯どうしようかな。
「なぁ、おいっ。聴いてんのか?」
男達は笑っている。
平然と笑い続けている。
さて、これはどう対処するべきだろう?
士郎は持っていた買物袋を離し、意識を集中させる。
「なんだぁ、こりゃ?」
「うぉ、食物入ってんじゃん!」
「おぉ、見た事ねぇのも入ってんな。こりゃあ高く売れそうだ」
男達は手放した買物に目をやっている。士郎はその一瞬、その一瞬を使って魔術回路をONにする。
スイッチを入れ、魔力を流し込む。
投影するのは久しぶりだ、聖杯戦争が終わってからする必要無かったし、する出来事も無かったからだ。だが、衛宮 士郎は覚えている。
あの感覚を、あのイメージを。
投影するのに時間は掛からない。
頭の中のイメージを具現化する、そのイメージを自身の魔力で形付ける。
やっぱり、あの言葉を言うべきだろうか?
別に言わなくても投影は可能だけど……言わないとしっくりこないのは確かだ。ほんの少し、息を吸
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