一話 士郎、異世界に立つ?
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────ここはどこだろう?
衛宮 士郎は周りを見渡し、目に映る風景を見て。
「俺は……確か、買物帰りで。
玄関を開けようとして……それで」
ただいま、って言おうとしたら急に視界が真っ暗になって。明るくなったと思ったら見覚えのない風景。
「もしかして……これは夢か?」
そうだ、そうに決まってる。
竜が馬の代わりみたいに荷車を引いてる訳ないよな。あはははっ。
それも沢山、それに兎ぽい耳が生えた人間なんているわけないじゃん。ほんと勘弁してくれよ。
他にも鰐の様な身体付きをした大男、全身を鎧で覆った騎士達。
今日はハロウィンかな?
それともコスプレ大会?
どちらにせよ、タチの悪い。
こんなの有り得る訳ないじゃないか。俺は出来の悪い夢を見ている、そうだこれは夢なんだ。早く起きて、皆の昼飯作らないと。
「おら、そこの兄いゃん!
道の真ん中でボサッとしてんな!」
背後からの声、振り返ると。
竜の手網を引く、中年男性がそこに居た。
どうやら行き先を邪魔しちゃてるみたいだ。
「あぁ、すまない」
ささっと道を開けると。
「あぃん? 兄ぃやん。見ねぇ服装だな?」
そう言いながら中年男性は珍しいものを見るように俺の服装を見てくる。
「匂いも、ここらのもんやぃねぇな。兄いゃん、どっから来たんや」
「何処からって……」
これは夢の中なんだから夢からって答えるべきかな? いや、そんな答え方しても納得してくれそうにないし。
よし、ここは────。
「日本からきた」
無難に、そう言ってみた。
「日本? 聞いたことねぇな?
そりゃあ国の名前か?」
「東の果てにある、小さな国だよ」
「カッかかっ。笑わせんなよ、兄いゃん。東の果てっつたら、このルグニカしかねぇだろうがぃ。おもしれえ冗談だなぁい」
「いや、冗談ではないんだけど……」
「ともかく、そんな洒落の効いた冗談は控えるこったぃ。今のこの国じゃあぃ、特にな」
そう言い残し、男は去っていった。
なんなんだ、この夢は?
まるで絵本の様な世界だ。
「何が……どうなってるんだ?」
さて、状況を整理しよう。
右手には買物袋、中身は野菜類と肉類、それと卵。左手には包み紙、中身は先ほど買った出来立てホヤホヤの大判焼き×7個。
もし、仮に本来の物語の主人公なら初期装備に嘆きそうな手持ちだが、食料に溢れている点に関しては大きなファクターと言える。
あ、ズボンのポケットに家の鍵もあった。
自身の持ち物を確認しても、この状況は変わらない。だが、この状況を打開できるアイテムがあるかも知れない……そう信じ、士郎は何度もアイテムチェックをする訳だが。
「食べ
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