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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百話 辺境星域回復
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とする二人を一喝した。

「私はお前達を十分に使いこなせなかった情け無い主だ。私に対する義理立てはこれ以上は無用だ……。お前達の能力はこれからの帝国に役立てよ、新しい帝国を見届けるのだ。そしてそれがどのようなものか、私に教えてくれ、ヴァルハラでな」
「……」
「サビーネをそれとなく見守ってくれ、頼む」
「……承知しました」
ガームリヒが言葉に出して、そしてブラウラーが無言で頷いた。

「話は以上だ、これまで御苦労だった、下がってくれ」
「はっ」
「それと、サビーネを呼んでくれるか、あれとも話さなければならん」
「はっ」


十分程してサビーネが部屋に入ってきた。何処と無く怯えた表情をしている。無理もないだろう。周囲は殆ど男達ばかり、しかも戦場の雰囲気が満ち溢れている。母親とも離れ心細い事だろう、慣れる筈も無い。

「サビーネ、もう聞いているかもしれんが明日私は辺境星域に向けて出撃する」
「……」
サビーネは何も言わず、ただ黙っている。どう話をすれば良いだろう、呼んでから考えるとは相変わらず、駄目な父親だ。

「多分一ヶ月もすれば戻ってこられるはずだ」
「はい」
「……だが、もしかすると戻っては来れぬかも知れぬ。意味は分かるな?」
「……はい」
蒼白になって頷く娘が不憫になった。

「例えそうなっても、お前の事はブラウンシュバイク公、ブラウラー大佐、ガームリヒ中佐に頼んである、心配は要らない」
「……」
頼むから涙ぐまないでくれ。娘とは厄介なものだ、息子なら“泣くな”と一喝できるが娘ではそうはいかん。困惑するばかりだ。

「クリスティーネに会ったら伝えてくれ。また一緒に暮らせると言ったのに約束を守れず済まぬとな、さぞかし怒るだろうな、あれは……。だがお前とは一緒に暮らす事が出来た、その事には感謝している」

「お父様……」
「この手紙をクリスティーネに渡してくれ、良いね」
「嫌です、お父様が自分で渡してください……」
「サビーネ……」

サビーネがとうとう泣き出した。自分には抱き寄せて頭を撫でてやる事しか出来ない、何と無力な父親なことか……。サラサラと手触りの良い髪を持つ娘が愛おしくてならなかった。ブラウンシュバイク公ならどうしたか、一度公と娘のあしらい方について話してみれば良かった……。

「私が男だったら、こんな事にはならなかった?」
「!」
驚いて娘の顔を見た。サビーネは泣きながら辛そうな表情で私を見ている。

「馬鹿なことを」
「でも皆が言っています。私かエリザベート姉様が男だったらこんな事にはならなかったって……。お父様も私が男だったら良かったのでしょう?」

細く小さな声だ。怯えている、サビーネは自分が望まれた子ではないのだと怯えている。もしかするとずっとこ
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