暁 〜小説投稿サイト〜
どうやら俺は二次元の世界に迷い込んでしまったらしい?いえ、これは現実ですよ夕練さん!
はい、これは夢ですね。解ります。
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 緊張している……?
 無表情と言っても素振りや、目線を見れば少しは何を考えてるのかは分かる。だが、具体的に何を考えてるかまでは解らない。
 へぇー、一ノ瀬でも緊張するんだ。
 新たに一ノ瀬の生態日記を付けねば。いや、今日初めて会話した奴が何言うてんねん。
 「いえ、すみません。何でもありません」
 そう言って一ノ瀬は頭を下げる。
 「いや、頭なんて下げなくていいから」
 「でも、呼び止めたのに。
 何も言わずに……夕練さんの時間を消費させてしまいました」
 「いいのいいの、そんな事。
 言いたくないなら言わなくていいし。言えないなら言えるようになるまで待つからさ」
 てか、そんな事で謝るなよ。
 と、本人に言ってやりたかった……けど今日の一ノ瀬との会話で一ノ瀬は根っからの真面目キャラって解ったし、あれこれ言うと誤解を生みかねないので敢えて言わなかった。
 「ですが、言葉にしようものなら3時間位は掛かるかも知れません」
 前言撤回、実は結構、巫山戯てるのかな一ノ瀬さん?
 いや、真面目過ぎて悩んでるのか?
 「困りました……これ程、言葉にするのに悩むなんて」
 「そんなに言いにくい事なの?」
 「いえ、言おうと思えばすぐに言えます」
 「そりゃあ、難問だね。
 言おうと思えばすぐに言えて、言葉にしようものなら難しい……ね。まるでクイズだな」
 「面白い例えですね。
 でも、その通りなのかも知れません。回答は私の中でずっとぐるぐるしています」
 「回答、ね。って事は言おうとしてる事は自分で解ってるってこと?」
 「はい、ですが……。
 それをどう言葉にするのか、それをどう言えばいいのか……私には解りません」
 ぶつぶつと自問自答を繰り返す一ノ瀬。
 彼女の悩みは多分、俺からすればちっぽけなものだろう。他の人でもそれは当てはまる。だが、一ノ瀬はその答えを知りえない。俺は一ノ瀬が何を考えてるのか、どう思ってるか、何を悩んでるかなんて俺には解らない。
 でも、その答えを俺は知っている。
 これこそクイズだろう。
 「一ノ瀬さんは夕練さんに話し掛けます。ですが、一ノ瀬さんは夕練さんにどうやって伝えればいいのか解りません。心の中では伝えたい事を文章化できても、一ノ瀬さんはそれを『言葉』にする事は出来ませんでした。
 思い悩む一ノ瀬さん。
 ですが、そんな中。夕練さんは一ノ瀬さんが何を言いたいのか解ってしまいました。さて、夕練さんは何故、一ノ瀬さんが言いたかった事が分かったでしょう」
 「────?」
 キョトンっとした表情でこちらを見てくる一ノ瀬の表情も、やっぱり可愛かった。
 さぞかし、怒った時の顔も可愛んだろうな。
 「さて、これは宿題です。
 期限は一ノ瀬さんの回答が出るまで。それでは俺は
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