12. 夕方5時 〜電〜
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の目の前まで近づいてきた司令官さんはその場で立ち止まり、私を見下ろした。司令官さんは背が高い。そばに立たれると、それが本当によく分かる。
「司令官さん?」
ぽすっという音と共に、私の頭に心地いい感触が走った。司令官さんが私の頭をくしゃくしゃとなでてくれていた。少しだけ乱暴だけど私の髪が乱れない程度の、司令官さんらしい優しい撫で方だった。
「……辛かったろ?」
「辛くなんかないのです……友達のために頑張るのは……当たり前なのです……!」
「今、集積地はいない。無理しないでいいのよ」
そんなことを言わないでください。集積地さんの為に頑張らせてください。
「無理なんてしてないのです……ひぐっ……集積地さんのためにがんばりたいのです……!!」
「……だからさ。これから目一杯がんばらにゃいかんのだから」
「だから泣いてるヒマなんて……ひぐっ……ないのです……ッ!」
「今はいいよ。集積地の前じゃ頑張らなきゃいかんのだから、いないとこならがんばらなくていいよ」
何かを掴みたくて、司令官さんの上着のすそを掴んだ。司令官さん。そんな無責任なことを言わないで欲しいのです。涙が止まらなくなるのです。
「司令官さん……ひぐっ……司令官さん……」
「……」
「集積地さんが……ひぐっ……帰りたいって……言ったのです……!」
「……」
「集積地さんと……電は、離れたくないのです……!」
「友達だもんな。離れたくないよな」
「集積地さんと手を繋ぎたいのです……! ひぐっ……まだ一緒にいたいのです……!!」
本音を司令官さんに話してしまった。一言口に出してしまうと、壊れた蛇口のように私の口はボロボロと本音をこぼし始めた。本音が私の喉を通るたび、私の喉をぎゅうぎゅうと締め付けていった。おかげで喉がとても痛くて痛くて。息もままならないから苦しくて。とても痛くてすごく苦しくて、涙がずっと止まらない。
「集積地さん……集積地さん……!!」
何かにしがみつきたくて司令官さんの腰に手を回してしがみついた。顔を押し付けた司令官さんの上着は私の涙でじんわりと濡れた。ごめんなさい司令官さん。でも涙が止まらないのです。何かにしがみつかないと立っていられないのです。
「一緒にいたいのです……集積地さん……明日も明後日も、ずっと手を繋いで一緒にいたいのです……ひぐっ……」
「そうだな」
「一緒にご飯食べたいのです……一緒に間宮さんのクリームあんみつ食べたいのです……一緒にお散歩したいのです……いなずま社長になってボンビーなすりつけたいのです……一緒に笑いたいのです!」
「そうだな。一緒にいたいな」
「一緒にいたいのです……一緒にいたいのです!」
私は司令官さんにしがみついたまま、何度も何度も集積地さんの
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