12. 夕方5時 〜電〜
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「……」
「……」
でも、集積地さんはいつか帰る。そして、もし帰りたがっているのなら、私は彼女の友達として、それを受け入れてあげなければならない。……受け入れてあげたい。
「……かもしれない」
胸がキュッと痛くなった。集積地さん、電はあなたといっしょにいたいのです。
「……電は、集積地さんと離れたくないのです」
「私もだよ。電だけじゃない。アカギやテンリュウ……提督やオオヨド……ホウショウのご飯……ここでの生活は本当に楽しい」
「だったらずっといてもいいのです」
いてもいい……違う。私がここにいて欲しいのです。
「ありがとうイナズマ」
「だったら……」
「でもな。イナズマにアカギやテンリュウがいるように、私にも置いてきた仲間がいる。ここにいるイナズマやみんなも友達だが、向こうにも、大切な仲間がたくさんいるんだ」
「……」
「あいつらはどうしてるだろうか……心配しているだろうか……風邪をひきやすいあいつは元気にしているだろうか……あいつはちゃんとご飯食べてるだろうか……」
「……」
「はじめて見て以来……この夕日を見る度に、そういうことを考えてしまうんだ」
手を離して、自分の両耳をふさぎたくなった。集積地さんの次の言葉を聞きたくない。聞けば、私は受け入れなければならなくなる。彼女が元の居場所に帰れるように、頑張らなくてはならなくなってしまう。
「私は……」
私の手を取る集積地さんの手に、少し力がこもった。まるで、さっき私が集積地さんの手からあと少しの勇気を借りた時のように……私に勇気を借りるように、その手には力がこもった。
言わないでください。次の言葉を聞かせないでください。
「……帰りたくなったのかも知れない」
聞いてしまった。涙が出そうになるのを必死にこらえた。
「分かったのです! じゃあ司令官さんに相談してみるのです!!」
「ホントか?」
イヤです。『ウソだよーイナズマー』って言ってください。
「ホントなのです! 司令官さんと相談して、集積地さんが帰れるようにするのです!」
手を離し、集積地さんの正面に立った。集積地さんの目は少し輝いていて、とてもうれしそうな笑顔をしていた。困ったな……。
「ありがとうイナズマ! お前には助けられてばかりだな!!」
「イナズマは集積地さんの友達だから、当たり前なのです!」
こんなにうれしそうな顔をされたから、集積地さんに本心を言うことが出来なくなった。……いけない。涙が我慢できなくなってきた。逆光になっているから大丈夫だと思うけど、うつむいて泣いてるのがバレないようにしなきゃ。
「……集積地さん! 今から電が司令官さんに今の話を伝えてくるのです!」
「今からか? 晩
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