24部分:第二十三話
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第二十三話
第二十三話 帰宅
こうしてようやく帰って来た小田切君。博士は警察に連行されている。
「何かやっと帰って来たなあ」
まずは自宅のアパートに向かう。研究所はその後だ。
「まずはゆっくりして。それから」
「おお、お帰り」
「やっと帰って来たんだね」
「あれ、君達」
見ればアパートの中にタロとライゾウがいた。タロがフライパンを使って魚をムニエルにしていてライゾウは洗濯をしている。かなり異様な光景である。
「何してるんだ?」
「何って決まってるじゃない」
「あっ、食費とかはこっちで払ってるから」
「いや、そういう問題じゃなくてさ」
小田切君は二匹に対して言う。
「何で僕のアパートにいるんだい?」
「だってあの研究所何があるかわからないから」
ライゾウが答える。
「それで小田切さんのアパートに避難したわけ。博士達がいない間ね」
「そうだったのか」
「それで博士は?」
今度はタロが尋ねてきた。
「一緒じゃないの?」
「博士なら警察に連行されたよ。日本に帰るまでに大暴れしたから」
「やっぱり」
「じゃあまだ暫く帰って来ないか」
「多分ね。とりあえず僕の御飯はあるかな」
「どうぞ」
「鮭のムニエルに若布と豆腐のお味噌汁、そしてホウレン草のおひたしだよ」
「随分いいメニューだね」
少なくとも動物の作るメニューではない。
「まあ料理は得意だから」
タロは答える。
「洗濯や掃除はおいらがやっておいたから。じゃあ皆で食べようよ」
「そうだね。ところでさ」
「何?」
「研究所大丈夫かな」
「さあ」
「なるようにはなってると思うよ」
「そうだね。明日行く時には博士も戻っているだろうし」
「今日はゆっくりとね」
「いただきます」
卓を座って囲んで食事をはじめる。とりあえずはくつろいだ一日であった。
交代で風呂にも入る。意外と奇麗好きな二匹である。
「南極どうだった?」
「何とも言えないね」
ビールを飲みながら二匹と話をする。
「あの博士と一緒だったからね」
「そうだよなあ」
「僕達だっていきなり人間の言葉喋れるようになったし」
タロもビールを飲んで愚痴を述べていた。ライゾウも飲んでいる。しかも前足で人間の手の様に掴んでである。
「何であんなに滅茶苦茶なんだか」
「警察も甘いよなあ」
「そうだよなあ。あんな危険人物ずっと野放しにして」
「まあおかげで給料貰ってるわけだけれど」
「こうしてやってるわけだけれど」
「それでもな」
他愛のない愚痴をこぼしあって夜を過ごした。本当に久し振りの憩いの日々だった。だがそれもこの日だけのこと。次の日の朝からやはりとんでもない日常が再開するのであった。
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