第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#20
PHANTOM BLOOD NIGHTMARE] 〜Third Impact〜
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【1】
山岳を想わせる騎士の巨像が、神輝の光に包まれて昇っていく。
凄惨なる戦場に存在し得ない悠遠なる雰囲気。
窮地に襲来した未曾有の不条理に、承太郎が対抗する術 (退避も含めて)
を数種紡ぎだしたその瞬間だった。
「……ったく、敵わねぇよな。 “アノ人” には」
香港で顕在したアラストールの畏るべき威力。
ソレすらも凌ぐ絶対的な格に、承太郎は苦笑を混じわせそう呟く。
(だが、アレだけの力を使っちまった以上、曾祖母サンも相当消耗してる筈だ。
相手の強さと受けたダメージとかも考えて、この先はアテに出来ねぇ。
幸運は一回こっきりと考えた方が良さそうだぜ)
一時的だが絶対的に優位となった自陣の勢力に上擦る事なく己を諫めた承太郎は、
無意識的にもエリザベスに頼る心を打ち消し路面を蹴る。
自分達の目的はまだ遙か彼方、どれだけ絶大な光景が眼の前を覆っても
所詮はその一場面に過ぎない。
アラストールとエリザベス、最強二人の力はまだまだ底知れないが
その両者をして勝てるかどうか解らない、そう云わしめた男こそが他でもない
この旅路の最終点待ち受ける者、 『DIO』 なのだ。
(まだまだ、だよな。
オレもおまえも、今のまんまじゃいらんねぇ。
強く、なろうぜ。誰の力にも頼らねぇ。
あのヤローは、オレとおまえでブッ斃す!)
遙かな高みにいる存在に気後れする事なく、
逆に覇気を燃え上がらせて心中の少女に叫んだ青年は一気呵成に
『光の柱』 を目指す。
「あの……」
故にその声が届いたのは一種の偶然、
或いは彼の戦闘神経が熱で研ぎ澄まされた為か。
スキール音に酷似した響きでスタンドを滑らせ
急ブレーキをかけた視線の先に、意外な人物が佇んでいた。
「……」
この戦場の最中、なんとも扱いに困る対象。
しかし無視する事は出来ないので
承太郎は両手をポケットに突っ込んだまま迅速に歩み寄る。
「吉田、だったか? こっちに逃げてきたのか。
曾祖母サンの指示だな?」
一応その存在は知っていたが、
色々と面倒なので初対面のような態度を承太郎は取る。
「は、はい。
戦いの場所からはなるべく離れて隠れるよう言われたんですけど、
みつかってしまって」
説明の必要などないほどに変わり果てた姿、
少女、吉田 一美の制服は所々引き裂かれ焼塵が付着し、
そして何故かスコールでも負っ被ったかのように濡れていた。
せめてもの救いは目立った外傷はなく自分の足で歩けている所だが、
この戦場では気休めにもならない。
「で? どこだ? おまえを襲ってきてる 『スタンド使い』 は?
ンな暇なかったかもしれねーが、出来れば相手の幻 像と
能力のヒントでもあれ
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