2章戦闘校舎のフェニックス
1話招かれざる客と宣戦布告
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夢を見ていた
山の奥にひっそりと立つ《里》で一人の少年の両手を両親が握り夕焼けが照らす道を自宅へと帰っている風景
何の変哲もない普通の幸せな家族の帰り道の姿がそこに映し出されていた
そして、真ん中にいる少年は左右にいる両親に明るい声で何かを話している、それに応えるように優しい笑顔を浮かべる両親
ああ、忘れるわけがない
こんなの忘れるわけがない
俺の・・・僕の家族との温かいひと時なんだから
だけど、この後風景は一変する
緑豊かで住宅が立ち並ぶ《里》が一夜にして業火に包まれ、そこに住んでいる人たちを何者かが次々と殺していく惨状へと
俺の両親もその何者かと戦った、だけど、両親はそいつに負けて二人とも殺された
そして、家が爆破される寸前
僕が最後に見たのは
僕をかばう両親の悲しい笑顔と
その背後にいる不敵な笑みを浮かべた黒い『何か』だった
『ある・・・ま!ーーーー主様!!』
ッ!?
俺はメルの声で目を覚ました
・・・ああ、そうか、俺はまたあの時の夢を見ていたんだな
いつもだ
いつも目を瞑ると最初から最後まで何度も何度も映像のように流れていく
この10年、一度もそれは変わったことがない
まだ頭に張り付いて離れ無い
両親のあの悲しい笑顔とあの狂気に満ちた三日月に歪んだ口はずっと俺の記憶にこびりついている
『主様、夢を見ていたようですが、うなされていたので無理やり起こさせてもらいました。迷惑でしたか?』
いや、助かったよ、ありがとう
俺はベッドから起き上がり、キッチンで水を一杯飲み干す
はぁ、もうあれから10年になるのか
あの地獄から運悪く生き延びた俺はもう10年も無様に生きているのか
両親と生きた時間よりも孤独に生きた時間の方が長いなんてな
ハハッ、笑えるな
何も救えなかった俺が今更何かを守ろうだなんてさ
『・・・主様、私は主様の記憶でしか、10年前のことを知りません、ですから、私は何も言いません・・・ですが自分を責めないでください、そのままだと、いつか体を壊してしまいます』
メルが、俺を励ましてくれる
ああ、ありがとう、もう大丈夫だ
俺はメルにそう応える
確かにいつまでもめそめそしちゃダメだな
メル、ありがとう、少し楽になった
『いいえ、気にしないでください、私はあなたの相棒なのですから、当然のことです』
そうか
本当にありがとうな
さてと、今日も朝からトレーニングと行きますか!!
そして俺はジャージに着替え、下に降りて、ランニングを始めた
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