第一章 天下統一編
第五話 御用商人
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労るように声をかけてきた。
「彦右衛門、藤四朗。何をのんびりしている。さっさと仕事をはじめろ」
「申し訳ございませんでした」
中島が石田三成に頭を下げ謝罪した。
「済みませんでした。今日は何をすればいいのでしょうか?」
俺の問いに石田三成は書類部屋を指さした。今日も伝票整理をするのか。俺は気が重くなった。
「仕訳をすればいいのでしょうか?」
「当たり前のことを聞くな」
石田三成は顔を上げ俺に冷たく言い放つと仕事を再開した。俺はとぼとぼと書類部屋に入り部屋の隅に積まれた伝票の束を掴み自分の机に移動した。仕訳作業は昨日より作業効率が上がっていた。その原因は書類部屋に行く頻度が減ったからだろう。
昨日は俺の仕訳が正しいか確認するため、頻繁に書類部屋を運んで過去の帳簿に目を通すしていた。お陰で明朝まで仕事をする羽目になった。それも全て石田三成の所為である。
俺が仕事をはじめて四半刻(三十分)立った頃、三成の部下達が出仕してきた。彼らは俺がいることに驚いた顔をしていたが、慌てて自分の机に着座し仕事をはじめだした。彼らが急に慌てた理由は石田三成が彼らを凝視していたからだ。何も言わず能面のような顔で彼らを見ていた。
俺は石田三成の顔が怖くなり、彼に気づかれる前に仕事を再開した。
俺が伝票の半分を仕訳し終えた頃、俺の腹がなった。だが、誰も反応しない。握り飯を食べたはずだが、あれだけでは足りなかったようだ。この時代は一日二食である。夕食まで我慢するしかない。
「藤四朗、どの位終わった?」
腹を空かせる俺に石田三成が声をかけてきた。
「半分です」
「そうか。昨日より早いな。俺に付いてこい」
石田三成は俺に声をかけると部屋の入り口に向かった。俺は彼に付いていった。
俺は石田三成が昼飯を奢ってくれるのかと期待した。だが、彼が俺に昼飯を奢る人間とは思えず、俺は淡い期待をかき消した。
石田三成に付いて行くと人気の無い部屋に案内された。俺と彼は対面する形で火鉢を間に挟み座った。勿論、彼が上座に座っている。
「お前の知行地について説明しておくことがある」
石田三成は俺が座るなり間を置かず喋りだした。
こいつは本当にせっかちだな。石田三成は俺の知行地について説明をはじめた。俺の知行地は表高五千石だが実高一万石あるということだ。そして、豊臣家の年貢は七公三民のため、俺の領地の年貢も据え置かれているらしい。
俺は豊臣家の重税に驚いてしまった。
「年貢が七公三民は高くありませんか?」
「何を言っている。何処の大名も似たり寄ったりだ。徳川も毛利も同じだ。島津は八公二民だ」
石田三成は俺を馬鹿にしたような目で見た。彼の発言に俺は驚愕した。歴史好きだったが年貢
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