第39話『視える』
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て感じかな?」
学校から早く帰れると喜ぶのが現代の子供。
しかし、初めての職業体験で早く帰されるのは気にくわないのが晴登だった。
場所は、時間に比例していっそう賑やかさを増す大通り。
ラグナの店から出た2人は、先程のラグナの物言いについて考えていた。
晴登は、何かしら裏があるのかとユヅキに訊いてみたが、長く付き合いのあるユヅキでも特に感じるものはないと言われ、疑問は謎を深める一方である。
すると彼女は「あ」と一言洩らすと晴登を見て、
「もしかしたら、さっきお客が来たから今日はもう来ないと思ったのかも──」
「店の評価酷くない!?」
その言葉が戯言と分かった瞬間、晴登は鋭いツッコミを入れる。
ユヅキはそれを受けると、わざとらしく舌を出して「ごめんごめん」と軽い謝罪をした。
「でさ、これからどうする?」
「…上手く誤魔化された気がするけど・・・そうだね。仕事が終わっちゃうと、正直やることなくなっちゃうな」
2人は首をかしげ、新たな議題について考える。
『ラグナの店で働く』というアクションが終わった以上、この後に残るは『暇』という怠惰のみ。せっかくの異世界非日常イベントのチャンスを、棒に振るのだけは勘弁だ。
「となると、自分でイベント起こすしかやることないな」
「いべんと? ハルト、何の話?」
「いやいやこっちの話。そうだな・・・じゃあ王都探険でもしない?」
「探険?」
晴登の提案に、ユヅキは更に首をかしげて応対。彼女の頭には疑問符が浮かんでいる。
「そう探険。こんなに広いんだから、やりがいがあると思うよ」
「ボクにとっては今さらって感じだけど・・・でも確かに行ったことがない所もあるしなぁ」
「じゃあいいじゃん。行こうよ!」
身を乗り出してユヅキに迫る晴登。その目はいつにもなくキラキラとしている。そう、晴登も男の子だ。探検と聞くだけで、心が躍るお年頃なのだ。
そんなうきうきな様子の彼を見て、ユヅキは断る訳にもいかない。
「まぁハルトが行きたいっていうなら、付き合わなくはないかな、うん」
「ありがとう、ユヅキ!」
ユヅキの優しさもだが、自分の意外な幼稚さに改めて気づかされた瞬間だった。
*
「と言っても、結局はユヅキの買い物に付き合わされただけという」
「そんな人聞きの悪いこと言わないでよ! ハルトが探険だって言うから、わざわざ色んな店に・・・」
「いやまず、店を回ることが確定事項の時点でおかしい!」
「だって夕食の食材がないもん」
「そりゃ仕方ない。ごめん」
さっきの決断から早2時間。『王都横断店巡り』は、ようやく終わりを見
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