第二十一話 地位と力その三
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「自分自身も助けるのです」
「慕う者が生まれ」
「そうです、ですから」
「私は、ですか」
「これまで通りです」
マリーにとってはそうなることだった、生真面目で私のない彼女にとっては。
「国と民のことを考えた政を進められて下さい」
「王女として」
「はい、お願いします」
是非にというのだった。
「ここは」
「それでは」
「はい、ではお願いします」
「元よりそのつもりです」
民と国の為の政を進めることはというのだ。
「必ず」
「では」
「ただ、私が助かる為にはです」
それを目的として、というのだ。
「それは行いません」
「それは思われるままに」
「それでは」
「ではです」
最後にキャスリング卿が言った。
「ご身辺のことは」
「このこともですね」
「はい、常にです」
「護衛をつけて」
「慎重にお願いします」
「警護は絶対ですか」
「マリー様が国と民の為に働かれたいのならです」
「生きること、だからこそ」
マリーはキャスリング卿にも顔を向けて応えた。
「身の警護もですね」
「忘れてはなりませんので」
「このことも絶対ですね」
「ことを為されたいのならば」
生きるしかない、そして生きる為にというのだ。
「お願いします」
「その様に」
「全ての手を打ち」
ロドネイ公が再びマリーに言う。
「ことを進めていきましょう」
「はい、では」
「三つの大臣の椅子を手に入れましょう」
こうしてだった、マリーの家臣達は宮廷に出入りする者達を味方につけマリー自身はこれまでの行動、政策の進言を続けてだった。民衆からの支持もさらに高めていった。
その状況を見てだ、王は側近達に言った。
「マリー王女はだ」
「はい、あの方はです」
「今も励まれています」
「国、そして民の為に」
「民の支持は絶大なものになっています」
「王女が言うのは善政だ」
王は言った。
「内外共にな、国と民のことを広く先まで考えている」
「税制といい」
「土地制度といい」
「全てですね」
「国と民のことを考えておられますね」
「常に」
「そうだ、実にいい」
王はまた言った。
「王女らしい、そしてな」
「そして」
「そしてといいますと」
「王女の周りは考えているな」
ここで王の目が光った、顔は以前より頬がこけ顔色も悪くなっているがその目の光はまだ健在だった。
その目を光らせてだ、そのうえで言った言葉だ。
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