第2章 第1話 怨みの恨みの憾み
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てたのだがね。今の私は宣教師、神の教えに従う者だがね」
「それでも精神世界。ほとんど夢と変わらないわインキュバスとしての生き方は辞めても、どこまでも囚われているのよその本能には」
「そうはいうがね、女性を襲わないだけマシと思う事だがね。インキュバスは淫魔だと言う事を忘れない事だがね。もっとも私は純粋無垢な子にしか興味が無いがね」
クククと不気味に変態的に笑うタナトス。お互いがここまで動かないのはこの『デス』の恩賞のせいだろう。タナトスはこの恩賞中は攻撃が出来ない、タナトスを殺してしまえばルイスが不完全な状態だった場合精神世界から抜け出せなくなる。
「…でも、貴方の恩賞は怨みの強さによって左右される。残念ね、旦那様に恨みの念は無いわ」
その言葉にタナトスはまたクククと笑った。
「何がそんなに可笑しいのかしら?」
「いや、残念なのは君の方だがね。メリー」
「どういう事…」
「確かに君と同じように彼は恨みの念は薄い、いや無いと言っても過言では無いがね。これはこれはとても素晴らしい…が、彼には怨霊が憑いてるそうじゃないか…つまりはどういう事かわかるかね?」
「まさか…その怨霊達の念も範囲内だとでも?」
「その通りだがねメリー。怨みの塊とも言える怨霊達だがね、それが70体以上となっては…彼に耐え切れるかな?」
「旦那様…旦那様なら突破してみせるわ」
「いい信頼だがねメリー。では、彼を待つとしようがね。どうせお互い何も出来ないのだがね」
そう言ったタナトスの言葉にはルイスを嘲笑うような雰囲気が醸し出されていた。それに対して怒りを示したいがそれを抑えたメリーが心配そうにルイスに視線を戻す。
メリーには見えないがそのルイスが笑ったような表情を俯いた顔に示した。
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『どうしてお前が生き残ったんだ!!』
『お前なんぞに何が出来る!!』
『鬼さえ…お前さえいなければ!!』
死んでいった者、殺していった者、そんな者達の恨みの言葉。そんな言葉がこの世界を歩くと頭に流れてくる。1歩踏み出す事に聞こえてくる、ルイスにとって昔から言われ続けた言葉たち。
『忌み子のお前がいたから一族は全滅したんだ!!全部お前が悪いんだ!!』
言われ慣れた。
『お前が脱走しなければ俺は行くことは無かったんだ!!全部お前のせいだ!!』
言われ慣れた。
『お前なんて生まれて来なければ良かったんだ!!兄の足元にも及ばない劣化品が!!』
1番言われ続けた。
兄の劣化品というレッテル。昔は苦痛だった、負の要素を持って生まれ、魔法すらろくに使えないルイスにとって兄の存在は大き過ぎたのだ。
「兄さん…は、天才だ。僕には
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