11. あなたと空を駆け抜けたくて(後) 〜赤城〜
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とになるだろう。
「どうすれば……」
成功するまで繰り返すことと、失敗を繰り返し続けることは同義ではない。先ほどと同じことをしても、きっと結果は先ほどと同じく失敗に終わるだろう。成功のための対策を講じなければ、私は子鬼さんを大空に飛ばすことは出来ない……
「……」
必死に考える。戦闘機のスピードを今以上に下げるか……ダメだ。そうすれば浮力を失う。子鬼さんは今以上にスピードを上げることは不可能……どうすれば……
「赤城」
私が答えの出ない難問に苦しんでいると、ギャラリーの中から聞き慣れた……それでいて懐かしい……私の先生、鳳翔さんの声が聞こえた。
気がついた時、私はギャラリーの中にいる鳳翔さんの元にかけていた。私は、誰よりも尊敬している自身の先生にすがりたかった。
「鳳翔さん」
「がんばっていますね、赤城」
「ええ……ですが……突破口が見えません……どうすれば子鬼さんを空に飛ばしてあげられるのか……」
私の先生である鳳翔さんに、私は素直に弱音を吐いた。士気は落ちてはいない。子鬼さんに大空を見せてあげるという目的に向かう決意は今も変わらない。でも、その方法が見いだせない。今のままでは、私は自分の相棒に私たちが見る美しい世界を見せてあげられることが出来ない……。
「赤城。みんなよくがんばっています。子鬼さんも妖精さんも……そして、あなたも」
「では……無理……なのでしょうか……」
「あなたは今、頑張りすぎているんです」
「それは……、どういう……?」
鳳翔さんの言葉は意外だった。私が頑張りすぎている? 私にもっと力を抜いてリラックスしろと?
「あなたは今、自分の力で子鬼さんを空に上げることに囚われ過ぎています。自分の力だけで子鬼さんを空にあげようとしている。故に、あなたの狙いが定まらないんです」
「……」
「あなただけが頑張っているのではありません。妖精さんも、必死に子鬼さんを空にあげようと奮戦しています。子鬼さんも、自分が空を飛ぶために必死に駆けています」
「……私が、みんなを信じていない?」
「気負いすぎているんです。故に、あなたは子鬼さんと妖精さんを捉えきれず、狙いが定まっていないんです。だから失敗してしまう」
鳳翔さんに指摘され、私は作戦中の自分の射撃を振り返った。……確かに私の狙いは定まってなかった。私と子鬼さんの間を結ぶ射線を捉えた段階で戦闘機を放っていた。戦闘機の動きと子鬼さんの動きを捉えきれてなかった。子鬼さんを的として認識し、世界を私と子鬼さんの二つに収束させた段階で、私は矢を放ってしまっていた。
「もう一度、私があなたに教えた基本を思い出しなさい」
「……」
「自分の射撃だけではなく、妖精さんが操る戦闘機の動きを捉えなさい。そ
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