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テキはトモダチ
11. あなたと空を駆け抜けたくて(後) 〜赤城〜
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呼ぶ声が聞こえた。この声は集積地さんだ。

「集積地さん!?」
「アカギ! そいつの見た目に騙されるな!」
「?」
「そいつはそんなナリをしてても軍艦だ! お前たちと死力を尽くして戦える軍艦だ!!」
「……?」
「海面で転げたぐらいで怪我するほどヤワじゃない! 数回の失敗で心が折れるほど、そいつらは弱くないんだ!!」
「……!!」

 集積地さんの叱咤が私の心に刺さった。確かにそうだ。こんなに小さくて幼く、そしてキモい姿をしているが、子鬼さんは……私の相棒は軍艦だ。それも、私たちと互角の死闘を演じることが出来る、強い軍艦だ。

「……」
「フフ……コワイカ?」

 俄然勇気が湧いてきた。そうだ。子鬼さんは強い軍艦なんだ。これぐらいの失敗やアクシデントでどうこうなるような、弱い子供ではないんだ。そのことを忘れていた。

「確かにそうですね。さすがは私の相棒で、天龍さんの化身です」
「なんか言ったか姐さん!?」

 ギャラリーの中にいる本物の天龍さんが何か私に聞いているようだが気にしない。

「……まだやれますか?」
「キャッキャッ!!」
「それでこそ私の相棒です!!」
「キヤァァアアア!!」

 戦闘機が甲板に戻ってきた。着艦後、戦闘機の中の妖精さんが私をジッと見ている。その真っ直ぐな眼差しはやる気満々だ。誰も心は折れていない。ならばやるべきことはひとつ。

「ではもう一度行きましょう!」
「キヤァァアアア!!」

 妖精さんの敬礼と子鬼さんのかわいい咆哮を確認した後、私は集積地さんの方を見た。彼女は子鬼さんや妖精さんと同じ、真っ直ぐな眼差しで私たちを見ていた。『お前たちの世界を子鬼に見せてやってくれ』彼女の眼差しは、そう言っているように私には見えた。

「集積地さん!!」
「なんだアカギ!」
「ありがとう! あなたのおかげで私は心を持ち直しました!!」

 あなたの激励がなければ、私は心が折れていたかも知れない。度重なる失敗の連続で、子鬼さんへの負担を言い訳にして、諦めていたかもしれない。

「信じてるぞアカギ!」
「任せてください!!」

 でももう大丈夫だ。子鬼さんも妖精さんもやる気満々。ならば私が心が折れてどうする。集積地さんにも力を分けてもらえた。成功するまで何度でも繰り返そう。

 子鬼さんに再びポイントについてもらい、私も自分の持ち場に戻る。成功するまで何度でもチャレンジする。私の願望は、集積地さんと、そして相棒の子鬼さんとの約束になった。ならば一航戦として、必ず成功させてみせる。

 とはいうものの……突破口が見えない。このまま同じことを繰り返しても、恐らく子鬼さんはタラップを掴んでも足をかけ損ね、先ほどと同じく大きな水しぶきとともに海面を転げまわるこ
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