暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
11. あなたと空を駆け抜けたくて(後) 〜赤城〜
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る子鬼さんにあの美しい世界を見せてあげるまで、私は決して諦めない。

 昼食を摂った後も、“あなたと空を駆け抜けたくて大作戦”を続行する。ポイントに子鬼さんが到着したのを見計らって……

「子鬼さん! 準備はいいですか!?」
「キャッキャッ!!」
「では行きます!!」

 もう何度目だろうか。私は再び戦闘機の矢を引き絞った。世界が狭まり、私と戦闘機、そして子鬼さんが存在する世界に閉じていく。戦闘機が描く曲線が、子鬼さんを捉えた。よし。今度こそ……

「……ッ!!」

 戦闘機を放つ。プロペラ音が鳴り響き、猛スピードで戦闘機が子鬼さんに向かって飛翔して行った。

「子鬼さん!!」
「キヤァァアアア!!!」

 子鬼さんが走り始めた。昼食で元気を補給したためか、スピードが乗っている。いい感じだ。

「タラップを掴んだのです!」
「そのまま行け!! 足を乗せろ!!!」

 子鬼さんの憧れである天龍さんの叱咤を受け、子鬼さんががんばってタラップを掴んだのが見えた。子鬼さんが必死にタラップに足をかけようとしているのが分かる。がんばれ。そのまま足を乗せ、戦闘機が高度を上げれば……。

「……ああッ!?」
「ダメだったクマ……」

 うまくいかなかった。子鬼さんは猛スピードで駆け抜けながらタラップに足をかけることは出来なかったようだ。子鬼さんは手を離してしまい、水しぶきを盛大に上げて海面を転げまわった。水しぶきの大きさが、今までで一番大きい。

「子鬼さん!」

 たまらず私は海面を移動し、子鬼さんの元に駆け寄った。海面は一見クッションの役割を果たしそうだが、猛スピードでたたきつけられればそれは強大なダメージを与えてくる凶器に変貌する。子鬼さんは今、かなりのスピードで海面を転げまわり、たたきつけられた。大丈夫だろうか……。

 水しぶきが上がったポイントに到達した。子鬼さんは……いた! 仰向けになり、海面上を漂っている。

「子鬼さん! 怪我はないですか? 大丈夫ですか?」

 心持ち具合が悪そうに見える。もともと悪い顔色がさらに悪く見える……どこか怪我をしたのだろうか……やはり無茶だったのか……子鬼さんを戦闘機で大空に舞わせるというのは……私の希望は……私と相棒の希望は、無謀なことだったのだろうか……。

 私が葛藤に襲われ、心に少し罪悪感にも似た気持ちを抱きはじめたその時だった。

「フフ……コワイカ?」

 今日一日、何度もみんなを翻弄したセリフが聞こえた。子鬼さんの顔を見る。不思議だ。さっきまでと見た目はまったく変わらないキモい顔のはずなのに、その目は『まだ行けるよ』と私に笑顔で語っているように見えた。

「よかった……」
「アカギ!!」

 ギャラリーの方角から、私を
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ