Side Story
少女怪盗と仮面の神父 34
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はははははは! 何が幸せに……よ! 莫っ迦莫迦しい! 他でもない私自身が、私と同じ人間を作り出してたんじゃない!!」
気付いてみれば、逆に何を悩んでいたのか疑問に思える「当然」の罪。
盗む者がいれば、盗まれる者がいる。
盗まれたくない者は、盗みを邪魔する者に頼る。
では、盗みを邪魔する者が盗む者を阻めなければ? 役目を果たせなければ?
役立たずは捨てられる。
軍事に関わる人間が誰かに雇われる際、最も重視されるのは実績だ。
たった一人の怪盗すら捕まえられない実力など、雇用する側にとってもされる側にとっても、汚点でしかない。
経歴の何処かで付いた傷は、確実に腕を鈍らせる。
保身に重きを置く権力者達の中で、鈍った剣を求める変わり者が、果たしてどれだけいるのやら。
だから解雇された経歴の持ち主は、軍事世界に舞い戻るのが極めて難しいのだ。
『何の後ろ盾も柵も無い』『切り捨てが容易な』『一般上がりの』騎士や兵士なら尚更。
そして、屋敷を任されている点で言えば錠の役目を担うのは軍事関係者だけじゃない。
執事や侍女や庭師や御者や……『気分次第で自由に切り捨てられる』『乱暴に放り出されても文句は言えない』立場の人間と『その家族』がどれほど存在しているのか、想像も付かない。
……想像も追い付かない人数の『被害者』と『犠牲者』が、ピッシュや殺された商人達の他にも、いる。
(神の騎士……国軍が護るのは人の世の理。生きる為の術とそれを糧とする人間達。道理を解してないシャムロックが本当に犯した罪は、何?)
『鎧を抜け出た山猫の爪は「誰」を引っ掻いた?』
一度は呑み込んでしまっていた疑問。
答えは
「私の……義賊の罪は、「アルスエルナの民」から仕事を奪い、彼らと彼らの身内が人として生きる為の環境を乱した事……」
いとも容易く、するりと溢れ落ちた。
「やや不足だが正解だ。シャムロックの過ちは大きく分けて四つ。一つ目は、活動開始前に義賊が忽然と消えた理由を探らなかった事。でかい街のド真ん中で起きた売春婦の自殺騒動も、調べようと思えば簡単に調べられた筈だ。耳に優しい話ばかり受け入れるから、重大な判断要素を聴き逃す羽目になるんだよ」
「……っ」
「二つ目は、出現した時機と方法。やっと義賊が消えたか? って時に、正体が見えない不気味な消失現象を目の当たりにしてみろ。焦った貴族達が警戒を強めるのは至極「当然」だ。おかげで此処数年、南方領全土の防衛費が急上昇。傭兵への緊急報酬を含めた不足分は各種予算で補填してるから、領主達は今後も税を上げたがると考えて間違いない。一方で領民にとっては出世を望める場所や機会や収入が減り、国内の潜在的戦力と各職の質も緩やかに下降の一途だ。さす
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