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第十七話
第十七話 皇帝降臨
その巨神は鋼の巨神であった。何かあからさまに異様なシルエットであった。
「これは・・・・・・」
その今にもウルトラ○○セブ○と戦いそうな姿を見て小田切君の脳裏にある名前が浮かんだ。
「キン○○○ー・・・・・・」
「違うぞ」
「いえ、これどう見ても」
「だから違うと言っておるだろうが」
博士はあくまで言い切る。
「これはカイザージョーだ」
「まんまじゃないですか」
「ふん、これは皇帝なのじゃ。言うならば魔神・・・・・・」
「だから版権に触れるのは止めて下さい」
小田切君は博士を必死に止める。
「そのうちアメリカさんのどっかの会社に訴えられますよ」
「そうすればその会社をこのカイザージョーで破壊してやるまでよ」
「そうなんですか」
博士が本気で言っているのがわかる。博士にとって物とは壊す為にあるものだからだ。わからない筈がなかった。少し付き合いがあれば。
「じゃから心配無用」
「博士はそうでも僕は違いますよ」
「まあそれも日本に戻ってから言えることじゃな」
「そうですね」
何だかんだ言ってこれは揺るぎのないものであった。小田切君もこれには同意であった。
「それじゃあ帰るんですね」
「さあ、早く乗るのじゃ」
「乗るって何処に」
「決まっておるだろうが」
博士は何を言っておる、という顔で小田切君を見てきた。
「!?」
「肩に乗るのじゃ」
「またそんな御冗談を」
そんな筈がない、ここは南極ですよ、と一笑に伏そうとした。
「コクピットに入りましょう、早く」
「そんなものあるか」
博士は言った。
「えっ!?」
「じゃからそんなものはないのじゃ」
「まさか」
「肩に乗ってそこから指示を出すのじゃ。空も飛ぶぞ」
「あの、博士」
自分の耳を疑わずにはいられなかった。恐る恐る聞く。
「空って。嘘ですよね」
「だからわしは嘘は言わぬと何度も言っておろう」
「はあ・・・・・・」
「マッハ三じゃ。日本まであっという間じゃぞ」
「大丈夫なんですか?そんなので」
「わしは大丈夫じゃ」
博士は大丈夫でも普通の人間はだいじょうぶではない、それがわかっていないのだ。
「さあ早く行くのじゃ。日本に帰るぞ」
「とほほ・・・・・・」
がっくりと肩を落としてカイザージョーに向かう小田切君。今地獄の門がその大きな口を開けていた。
第十七話 完
2006・9・12
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