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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十九話 フェザーン進駐
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に溜まった怨念はフェザーンを産み、その経済力によって世俗面を、地球教という信仰によって精神面を支配しようとしている。そして最終的には地球が祭政一致の神権政治によって全てを支配する……。あの見捨てられた、衰微した惑星が人類支配の中心になる? おぞましい限りだ。


自由惑星同盟にフェザーンを占領させる。その後フェザーンから帝国に対して助けを求めさせる。それによって帝国はフェザーン解放、同盟領侵攻への名目を得る事が出来るだろう。その際フェザーンは帝国に対し後方支援を約束する。

フェザーンが得るものは帝国による宇宙統一後の経済的支配権だ。政治、軍事の支配権は皇帝が独占する。フェザーンもそれに従う、これまでよりも従順に。だが経済的支配権はフェザーンが持つ。長い時間ではあるまい、せいぜい許されるのは十年だ。帝国が安定すればいつかは剥奪される。しかしとりあえず十年有れば良い。

ある時点で帝国との間に繋がりをつける必要があるだろう。出来ればヴァレンシュタインとだな。彼にこちらのシナリオを示し協力体制を取る。経済的支配権については他にも手土産が要るな、地球教の存在とそれに対する協力者の名前、そして捜査に対する協力、そんなところか……。

「とりあえず、経済的支配権だ。後はそれからだ……」
宇宙が落ち着くまでにはまだまだ時間がかかるだろう。落ち着いたとき宇宙を支配しているのは誰か? 楽しみな事だ……。



宇宙暦 797年  1月17日  ハイネセン 最高評議会ビル  ジョアン・レベロ


最高評議会議長の執務室は緊張と苛立ちに包まれている。思うようにフェザーンへの工作が進んでいないのだ。執務室にいるのはトリューニヒト、ホアン・ルイ、ネグロポンティ、ボロディン統合作戦本部長、ビュコック司令長官、グリーンヒル総参謀長そして私。

ネグロポンティが苛立たしげに問いただした。
「ボロディン本部長、艦隊は今何処まで進んでいる?」
「フェザーンまで後二十時間といった所です」
「フェザーンは一体何をやっているのだ。何故長老会議を開かない!」

ネグロポンティの言葉が執務室に響いたが誰も反応しない。皆押し黙っている。トリューニヒトは腕を組んで眼を閉じている。ホアンも同様だ。軍人達は三人とも厳しい表情で沈黙している。

先日の会議の後我々はそれぞれの伝手を利用してフェザーンの有力者に長老会議を開いてルビンスキーを罷免する様に伝えた。それが無ければ自由惑星同盟にフェザーンは占領される。フェザーンの自由が奪われると。

にも関わらずフェザーンの動きは遅い、いや動きが無い。このままでは同盟によってフェザーンは占領されることになるだろう。一体フェザーンは何を考えているのか……。

「ボロディン本部長、イゼルローンのヤン提督と話したいの
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