人形-マリオネット-part1/暗躍する宿敵
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れるものとは限らない。だから口約束を無意味と感じる人もいる。
自分とサイトの間の未来に、彼女の心の不安は蘇り、そして強まり始めた。
同時刻、公爵家一家は去っていくリトラと、その背に乗るルイズたちをバルコニーから見送っていた。
「お父様、本当によろしかったんですか!?ルイズが本当に虚無の担い手だとしても…危険に身を投げるとなれば…」
エレオノールが、まだ納得できない気持ちを露に声を上げる。意地とか対面とかそれらを抜きしにしても、ルイズの身を考えると、女王の膝元に置くということは、同時にあえてルイズの力を発揮して敵を追い払うために彼女を前線に出すようなもの。今まで『ゼロのルイズ』という認識が強かっただけに、自分たちがなんとかしなければならないという考えが根強かった。
「我が領土にもあの子を狙った侵略者が現れたのだ。我々の力だけで防げるのなら苦労はない。どこに身を置いたところで同じことよ」
「け、けど…」
「お姉さま、ここはお父様たちの判断を信じましょう。本当ならルイズの希望に反対だった二人が、あの子たちを信じることにしたのですから」
虚無を受け継いだといっても、やはりあの子はまだ子供なのだという考えが強く、故に心配していた。だが自分以外の誰もが、ルイズの背中を押してしまっている。父に続き、カトレアからも言われるが、口に閉ざしただけで、やはり内心ではエレオノールは納得できていなかった。
「それよりも二人とも、先日の事件でまだ体が回復し切れておらんだろう?部屋に戻って休みなさい。背中を押して言ったとはいえルイズもそうだが、お前たちにも無理をさせたくはない」
「……」
カトレアから、「行きましょう、お姉様」と言われ、エレオノールは妹と共に部屋を去った。
その後、公爵は隣に立つ夫人に、外の景色を眺めながら口を開いた。
「しかし、恐ろしいほど『鋼鉄の規律』を尊ぶ君が、彼の正体に関して口をつぐむとは。
てっきり、報告するのかと思っていたぞ」
ルイズが知っているように、当然ながら公爵も妻の規律を徹底させる姿勢は知っている。それは自分も恐ろしいとさえ思えるくらいに徹底されており、破れば地獄を見る。それほどのものだ。だが、その『鋼鉄の規律』よりも優先するものが、カリーヌにはあった。
「…私は、彼の同族であるかつての恩人を裏切るような真似をすれば、規律以前に貴族として、人間として恥ずべきことを行い後悔したくなかった。
あなたも同じでしょう?」
「…否定はせんさ。わしもどこかにいる恩人から恨まれるようなことはしたくない」
公爵もカリーヌの問い返しに頷き、リトラの背に乗りながら小さくなって見えなくなった娘たちの姿を目で追い続けた。
夕焼けがさし始めたその景色に、ある人物のはかない後姿を見ながら。
「君は今、どこでなにをしているの
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