人形-マリオネット-part1/暗躍する宿敵
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」
「そうね…そうするわ」
カトレアとサイトに言われたとおり、ルイズはとりあえずリトラのことを、そうとらえてみることにした。
「ルイズ」
ルイズたちの下へ、彼女の家族や使用人たちが全員見送りのために集まってきた。公爵がルイズに向けて手招きすると、公爵は父としての優しい顔を浮かべ、ルイズの背にあわせて身をかがめて語りかけてきた。
「まだお前は私たちにとって小さいルイズのままだ。だが、お前はそのままでいることをよしとしなかっただろう。だからこそ、巣立とうとしているのだと、今ならこの父にもわかる」
「お父様…」
「ルイズ、もう婿を無理に取れとはいわんさ。
もし陛下が道をたがえるならそのお間違いを、危ない目にあいそうになったら幼き頃から友達であることを認めてもらったお前が守ってあげるのだ。
だが決して無理をしないでおくれ」
「…はい」
胸がいっぱいになったルイズに、公爵が額に接吻し、そっと離れた。
ルイズは、あの事件を通して気づいたが、自分はこんなにも家族に愛されていたのだと、今の父の言葉で改めて実感した。
フーケの事件の際、『ゼロ』と馬鹿にされるのが嫌だから考えなしに突進しようとしたことがあまりにも馬鹿馬鹿しく思えてきた。同級生からも、家族からも『ゼロ』だと思われてきた。それを見返すためにもアンリエッタのためにと命を懸けてきたが、見返すためだけならそんなことをすることなんてなかった。『ゼロ』である以前に、自分は彼らから愛された家族で、この世で唯一無二の『ルイズ』なのだから。
「ルイズ、いつでも帰っておいでなさい。ここはあなたの家なのだから」
「はい、お母様」
「ちびルイズ。陛下にくれぐれも粗相のないようになさい」
「は、はい…エレオノールお姉さま」
母も苦手だが、頻繁に頬をつねってくるエレオノールも違う意味で苦手なルイズは、いまだに彼女からこれらしい言葉を送られていないため、ついたじろいでしまう。
が…
「…ま、その…気をつけていきなさい」
「え?」
「へ、返事くらいしたらどうなの!?返事は!?」
「は、はいいい!!」
一瞬エレオノールが、そっぽを向いて顔を少し赤らめながらルイズに言うが、予想していない姉の言動に思わず耳を疑ってしまい、当然ながらエレオノールからいつものごとく怒鳴られてしまった。
ようやくルイズに、彼女なりながらも優しい言葉をかけたエレオノールを見てカトレアがクスクスと笑っていた。
「……」
サイト、そしてゼロは彼らを見て感慨に更けていた。
家族とはやはりいいものだと思えてならない。家族がいた頃は、たまに小言を言ってくる親が疎ましく思えたときもあるが、それは自分が愛され、幸せの中に生きている証なのだと再確認した。
今回の事件で、ルイズは精神を追い詰められ、危うく星人の間の手に落ちるところだっ
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