巻ノ六十四 大名その十
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「二人共よいな」
「それが真田が生きる道」
「だからこそ」
「そうするのじゃ、常に」
休むことなくというのだ。
「わかったな」
「わかっておりまする」
「さすれば」
二人も応えた、そしてだった。
幸村は妻と十勇士達を連れて上洛した、上田を後にして。
都に入った、すると都は。
「いや、来る度にですな」
「都は賑やかになってますな」
「人も店も増えて」
「服もみらびうやかになって」
「派手になっておりますな」
「うむ、栄えておるな」
幸村は赤い馬に乗って先頭にいた、そのうえで彼の後ろに徒歩で従っている十勇士達に応えたのである。
「前に来た時よりも」
「ですな、これは」
「一体何処まで栄えるのか」
「見当もつきませぬ」
「特にあれですな」
ここでだ、十勇士達はあるものを見た。それは。
金や朱塗り、瓦で飾られた天主の様な建物を軸にした城があった、その城を見てさらに言うのだ。
「凄いですな」
「前にはありませんでしたが」
「いや、大坂城の様な」
「見事なものですな」
「あれは聚楽第じゃな」
幸村はその城の名を言った。
「豊臣秀次殿がおられる場じゃ」
「関白様の甥御の」
「あの方のですか」
「あの方も豊臣家に戻られた」
三好家からだ。
「そのうえでな」
「あちらに入られたのですな」
「都に」
「そうなられたのですな」
「うむ、これはじゃ」
まさにとも言う幸村だった。
「あの方がこれより豊臣家で重きを為されるということ」
「天下の政に携われる」
「そうなるのですな」
「あの方も」
「うむ、しかし確かにな」
黄金に輝く聚楽第を見つつだ、幸村はこうも言った。
「素晴らしき城じゃな」
「ですな、絢爛で」
「見ていて眩しい位です」
「あそこまで黄金を使われるとは」
「流石は関白様ですな」
「全くじゃ、ではな」
「はい、それでは」
「これからですな」
「我等の屋敷に入ろうぞ」
真田家の都のそこにというのだ。
「今よりな」
「はい、これより」
「そうしてですな」
「都の方々にも挨拶をして回って」
「そのうえで」
「我等の務めを果たそうぞ」
こう言って都の真田家の屋敷に入った、周りには上杉家等の大きな大名の屋敷も並びそうした家々の屋敷とは比べものにならないまでに小さい屋敷だった。
だがその屋敷に満足した顔で入ってだ、幸村は言った。
「よい屋敷じゃな」
「はい、清潔で整い」
「よい屋敷ですな」
「丁度よい大きさじゃ」
こうも言った幸村だった。
「我等にはな」
「ですな、我等は数もそれ程ではありませぬし」
「これ位の大きさがよいですな」
「程々の大きさです」
「ではここにおいて」
「務めようぞ」
幸村は微
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