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テキはトモダチ
10. あなたと空を駆け抜けたくて(前) 〜赤城〜
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話を繰り広げているところを見ると、集積地さんは子鬼さんと意思疎通が問題なく出来るらしい。だったらさっきの子鬼さんの妙な様子を一応伝えておいたほうがいいだろう。

「集積地さん、あの……」
「? どうしたアカギ?」
「子鬼さんですが……」
「あ! お前!! おれがこの前やった眼帯ちゃんとしてるじゃねーか!!」

 絶妙なタイミングで天龍さんに話の腰を折られた……この時、私は今日の演習で天龍さんを完膚なきまで叩き潰すことを心に誓った。

「キャッキャッ!!」
「やっぱお前、分かってんなー!! カッコイイだろその眼帯!」
「フフ……コワイカ?」
「こええ!! こええよお前!! たまんねーなー!!」

 なんとなく意思疎通出来てそうな天龍さんがとても怖い。子鬼さんはさっきまでの沈んだ様子はなく、天龍さんの興奮に呼応して、両手を上げて己の存在を誇示していた。

「まったく……こいつに妙なものを与えないでくれ。最近はお前の眼帯を手放さないんだ」
「いいじゃねーか集積地ー。やっと俺の眼帯のかっこよさを理解してくれるヤツが出てきてくれて、俺はうれしいぜー!」
「キャァアアアア!!」
「そ、それはそうと集積地さん」
「ぁあすまないアカギ。さっきは何を言おうとした?」
「あの……」
「あ! 外を見て欲しいのです!!」

 今度は天龍さんじゃなくて電さんか……でも不思議と天龍さんの時のようなイラッと感はない。天龍さんには申し訳ないけれど。

「ん? どうしたクマ?」
「戦闘機なのです! 戦闘機がとんでるのです!!」

 電さんが満面の笑みで窓の外を指差していた。その様子につられて、私たちも窓の外を見る。窓の外では、カーキ色の戦闘機が一機、朝日が眩しい青空に舞っていた。

「鳳翔さんですかね?」
「きっとそうなのです!!」

 海上には、背筋を伸ばした凛とした佇まいの鳳翔さんが弓を携えて立っていた。戦闘機の飛行は見事なアクロバティック飛行で、見ている私達の目を釘付けにした。

「キレイなのですー……」
「鳳翔……さすがだクマー……」

 みんなが鳳翔さんの技術に感嘆していた。鳳翔さんは私の先生。あれぐらいのことはきっと造作もないはず。でも、あの人の教えを受けた私もとても誇らしく、そしてあの人の教えを受けることが出来たことをとても嬉しく思った。

「鳳翔さんは私の先生ですからね。あれぐらいは……」

 そんなセリフをつい口に出してしまいつつ、窓から視線を外して集積地さんの方を見たその時だった。

「?」
「……」

 集積地さんの膝に座る子鬼さんがまっすぐな眼差しで、じっと鳳翔さんの戦闘機を見ていた。

「……」
「……」
「……? アカギ?」
「……はい?」
「どうした? 子
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